今夏の移籍市場が閉幕し、束の間の静寂が訪れるかと思いきや、欧州のトップジャーナリストたちが放つ一報が、マージーサイドのファンを興奮の渦に巻き込んでいる。その中心にいるのは、バイエルン・ミュンヘンが誇るドイツ代表FWセルジュ・ニャブリだ。
イタリアメディア『La Gazzetta dello Sport』が報じたところによれば、ユヴェントスも彼の獲得に興味を示しているものの、リバプールは来年1月にユヴェントスを凌駕するオファーを提示し、30歳を迎えるニャブリとの契約交渉を優位に進める構えのようだ。
アルネ・スロット監督体制の2年目を迎えたリバプールは、戦術的な再構築の途上にある。昨シーズン、スロット監督は前任者ユルゲン・クロップのゲーゲンプレッシングの土台を活かしつつ、より緻密なビルドアップと、ハイラインを敷く相手を崩すためのファイナルサードでのコンビネーションをチームに植え付けてきた。
リバプールの攻撃陣は、モハメド・サラーを筆頭に、世界最高峰のクオリティを誇る。しかし、フットボールの世界は常に流動的であり、頂点に立ち続けるためには、既存の戦術に新たな刺激とオプションを加え続ける必要がある。ニャブリの獲得がもたらす戦術的な恩恵は、計り知れない。
スロット監督の戦術は、サイドバックが高い位置を取り、中盤と前線が流動的にポジションチェンジを行うことで、相手守備陣を混乱させることを主眼としている。ニャブリのプレースタイルは、このスロット監督が理想とするアタッカー像そのものだ。
圧倒的なスピードと、両足から繰り出される正確無比なシュート。そして何より、バイエルン・ミュンヘンという世界最高峰のクラブで培われた献身的な守備意識と、ハイプレスへの適応力である。彼は、右サイドを主戦場としながらも、左サイドや中央のシャドーストライカーとしても機能するポリバレント性を持つ。
これは、リバプールの流動的な前線において、戦術の幅を劇的に広げる要素となる。例えば、サラーが中央にポジションを移した際、ニャブリが右サイドの深い位置から一気にゴール前へ侵入する動きは、相手ディフェンスにとって悪夢となるだろう。
さらに、彼のデータは、その決定力の高さを雄弁に証明している。直近のシーズンにおいても、彼は期待ゴール数(xG)を上回る得点を継続的に記録しており、これはチャンスを確実に仕留める「真のフィニッシャー」であることを証明している。
また、ウインガーの枠を超え、戦術に応じてトップ下や偽9番の役割もこなす。この柔軟性こそが、リバプールが求める多様性の答えであり、スロット監督の戦術ボードに新たな可能性を刻み込むだろう。
とはい、リバプールが30歳という年齢のアタッカーに巨額のオファーを本当に提示するのかは疑問が残る。バイエルン・ミュンヘンの同僚FWマイケル・オリーセやブライトンFWヤンクバ・ミンテらもターゲットとして報じられる中、ベテラン勢に白羽の矢を立てるのか…?
