アレクサンデル・イサクやフロリアン・ヴィルツらを筆頭に大型補強を敢行したリバプールだが、今のところはうまく起用しているとは言い難い。唯一活躍していると言えば、ウーゴ・エキティケくらいで、他の選手たちは期待を下回っていると言わざるを得ない。
選手だけの責任ではなく、アルネ・スロット監督が嗜好するプレースタイルが浸透しきれておらず、どこかチグハグな展開も多い。そのひとつの要因となっているのが、レアル・マドリード移籍したトレント・アレクサンダー=アーノルドの後任問題だろう。
ジェレミー・フリンポンを獲得したが、元々ウィングバックの同選手はバイエル・レバークーゼンでのプレーの再現はできていない。コナー・ブラッドリーは上々のプレーぶりを見せているが、まだまだ不安定な部分は否めない。
そこで焦点となっているのが、トルコの強豪ガラタサライに所属するコートジボワール代表DFウィルフリード・シンゴだ。トルコメディア『Sabah』によると、リバプールはこの24歳ディフェンダーを、右サイドバックの最優先ターゲットとして明確に定めているようだ。
長年チームの心臓であったアレクサンダー=アーノルドの役割に、正統な後継者が誕生する可能性を示唆している。フリンポンはウィンガーなど前でのプレーが適しており、ブラッドリーは怪我も多いため、圧倒的なフィジカルで相手プレーヤーを抑え込むシンゴは適切なターゲットと言える。
シンゴの特筆すべき点は、その驚異的なフィジカルと、複数のポジションを高いレベルでこなす適応力にある。身長190cm、体重81kgという、サイドバックとしては異例のサイズは、彼をピッチ上のあらゆる局面で優位に立たせる。
センターバックを主戦場としながら、右サイドバック、さらには守備的ミッドフィールダーまでをカバーする彼のプレースタイルは、現代サッカーが求める「ポリバレント性」を体現している。リバプールが目を向けるのは、守備の安定と戦術的な柔軟性という二つの要素を同時に手に入れたいという、切実な願いの表れと言って過言ではない。
攻撃的な存在感こそ少ないが、守備に安定感をもたらせるディフェンダーはスロット監督にとって必要な選手だ。今シーズンはクリーンシートの数が減少しており、両サイドバックがともに攻撃的な部分が影響していても不思議はない。
ただしガラタサライは、シンゴを2030年6月まで長期契約下に置いており、彼を安価で手放すつもりは毛頭ない。このコートジボワールの至宝に対し、リバプールが破格のオファーを提示しない限り、交渉のテーブルに着くことすら拒否する姿勢を崩していない。
リバプールがこの守備のモンスターを手中に収めるためには、移籍金として相当な額を支払う覚悟が求められる。しかし、彼の持つ唯一無二の能力と、リバプールの戦術的なニーズを考慮すれば、その投資は将来的に大きな成功を呼び込む可能性を秘めている。
とはいえ、右サイドバックでの補強は考えにくい。フリンポンとブラッドリーへの信頼も厚く、あるとすればセンターバックとしての起用になり得る。だが、マルク・グエイを筆頭に経験値も豊富なディフェンダーとの関係も報じられており、プレミアリーグの経験がない選手に本腰を入れるとは考えにくい。
万が一にもイブラヒマ・コナテとジョー・ゴメスがともに退団する場合には、控えDFのひとりとしてアンフィールドに降り立つことはあるかもしれないが、現時点では確率は限りなく低そうだ…
