今夏の移籍市場において、リバプールが未来への投資として巨額を投じたドイツの至宝、22歳MFフロリアン・ヴィルツ。才能は疑いようもないが、プレミアリーグの開幕から約3ヶ月が経過した今、その輝きは鈍化している。
そして、この停滞を打ち破るかのように、欧州サッカー界を揺るがす「無謀なトレード」の噂が急浮上した。スペイン紙『Defensa Central』は、レアル・マドリードがブラジル代表FWロドリゴを放出し、ヴィルツとの交換トレードをリバプールに打診していると報じた。
アレクサンデル・イサクやウーゴ・エキティケらとともに、ヴィルツの移籍はリバプールにとって大きな期待とともに迎えられた。非凡な創造性、卓越したボールコントロール、そしてラストパスの精度は、ユルゲン・クロップ前監督からの完全なる脱却を示すものになるはずだった。
しかし、現実は残酷。アルネ・スロット監督は新戦力を組み込んだ新たなプレースタイルを確立するに至っておらず、未だにチグハグな印象が拭えない。
ドイツ代表MF自身もプレミアリーグの容赦ないインテンシティとフィジカルコンタクトに馴染みきれておらず、バイエル・レバークーゼンでの圧倒的なパフォーマンスは鳴りを潜めている。リーグ戦11試合を消化した時点で、彼のスタッツシートには0ゴール0アシストという、彼の市場価値に見合わない数字が刻まれている。
一方、レアル・マドリードがロドリゴの放出を検討しているという事実は、彼らの攻撃陣における世代交代と再編の動きと密接に結びついている。この夏を通して、プレミアリーグ移籍が報じられるもスペインに留まったブラジル代表ウィンガーだが、未だに放出候補であることに変わりない。
レアル・マドリードはロドリゴを放出し、その資金を未来のスター選手獲得、あるいは他のポジションの補強に充てることを視野に入れており、その視線がアンフィールドで苦悩するヴィルツに注がれているそうだ。
ロドリゴは、ヴィルツとは対照的に、スピード、ドリブル、そしてゴール前での決定力という、リバプールが求めるアタッカーの要素を高いレベルで兼ね備えている。右サイド、左サイド、そしてセンターフォワードの「偽9番」としても機能できる多様性を持っている。
単純に攻撃陣の上澄みという観点で捉えれば、理想にも近い補強になり得る。モハメド・サラーの年齢も相まって、右サイドのウィンガー確保は喫緊の課題となっており、その穴を埋めうるだけのポテンシャルを有している。
とはいえ、リバプールへの移籍も噂された今夏にプレミアリーグ行きは実現しなかった。ロドリゴの代理人が流している噂とも見られる中、イングランドのクラブにとっては大金を投じてまで獲得する選手ではないことが証明されたとも言える。
まして、トレード要員としてのヴィルツはあり得ない話だ。まだ半年も経過しておらず、時折見せるテクニックとチャンスメイクは今のサッカー界を見渡しても比較対象になる選手は数少ない。
大型補強の目玉であり、未来に向けた投資との意味合いも強く、すぐにリバプールが手放すわけもない。いくらそれが、レバークーゼンで最高の時間を過ごしたシャビ・アロンソ監督率いるレアル・マドリードでもだ。
今回の報道はあまりにも途方も無い嘘でしかない。そして、スカウサーはドイツ代表のミッドフィルダーの真価が垣間見れる日を楽しみにしている…