フットボールのビッグクラブは、常に次の時代を担う才能を血眼になって探している。そして今、その熱狂的な視線は、ブンデスリーガのピッチで爆発的な輝きを放つ若きコートジボワール代表、ヤン・ディオマンデに注がれている。
RBライプツィヒで迎えた2025/26シーズン、ディオマンデは期待の若手という枠を超え、チームの攻撃を牽引する破壊者へと変貌を遂げた。対峙するサイドバックにとって悪夢そのもの。
ベルギーの信頼できるジャーナリスト、サシャ・タヴォリエリ氏は、この19歳のウインガーを巡り、プレミアリーグの二大勢力、リバプールとトッテナム・ホットスパーがすでに代理人サイドと非常に進んだ接触に入っていると報じた。
ディオマンデの真価は、その統計データに裏打ちされている。主に左ウインガーとして起用されるが、そのプレースタイルは極めて現代的。今シーズンは、ドリブル成功率で約68%という驚異的な数値を叩き出す。
彼の加速力と、密集地帯でも失われないボールコントロールは、一対一の局面で常に優位性を確立する。ライプツィヒの戦術において、サイドから中央へ切り込み、フィニッシュとチャンスメイクの両方で貢献する多角的な役割を担い、現時点でブンデスリーガで3ゴール3アシストを記録している。
リバプールがディオマンデ獲得に熱心なのは、彼の持つラインブレイク能力を、クラブの攻撃再編の核と見定めたから。タヴォリエリ氏の報道が指摘するように、レッズはサイドのオプションとしてではなく、攻撃の軸へのプロジェクションをもたらす存在として評価する。
リバプールの戦術的な進化において、極めて重要なターニングポイントとなる。伝統的にサイド攻撃を生命線としてきたチームは、相手の守備が中央を固める現代フットボールにおいて、新たな打開策を必要とする。
ディオマンデは、その爆発的なスピードとドリブル技術で、サイドから中央へ侵入し、相手のセンターバックを釣り出す。この動きが、中盤やサイドバックに新たなスペースを創出し、攻撃全体に予測不可能性を注入する。
時に偽9番のように振る舞い、時にトップ下として機能する。リバプールが彼に期待するのは、単にゴールを奪うことだけではない。チームの攻撃構造そのものを変革し、相手守備陣を混乱に陥れる戦術的な一手となる。
一方で、エジプト代表FWモハメド・サラーの後継者問題やオランダ代表FWコーディ・ガクポへの過度な信頼からの脱却にも通ずる。サラーはすでに33歳になり、ゴールやアシスト数が今後増大する可能性は低い。
さらに、アルネ・スロット監督のお気に入りのガクポと対抗するのが、若きFWリオ・ングモハのみと心許ない。元イタリア代表FWフェデリコ・キエーザも在籍しているものの、オランダ人指揮官の信頼はあまり芳しくない。
この夏に大型補強で前線の陣容も移り変わり、本格的にスロット体制が始動し始めたものの苦戦を強いられているリバプールは、ドイツの地で頭角を表すコートジボワール代表のウィンガーに白羽の矢を立てるのだろうか…？