フロリアン・ヴィルツ、ウーゴ・エキティケ、アレクサンデル・イサク、ミロシュ・ケルケズ、ジェレミー・フリンポンと前線およびサイドバックを強化したリバプール。この夏の移籍マーケットにおいて大金を投じたが、さらなる投資を目論んでいた。
そのターゲットは、パリ・サンジェルマンに所属するフランス代表FWブラッドリー・バルコラ。コロンビア代表FWルイス・ディアスの退団に伴い手薄になったウィンガー強化に名前が挙がったが、結局はコーディ・ガクポやリオ・ングモハに信頼を寄せた。
ベルギーの信頼厚いジャーナリスト、サシャ・タヴォリエリ氏によると、マージーサイドのクラブは仲介人を通じてPSGに対して口頭オファーを提示していたが、即座に拒否されたようだ。
パリ側は議論の余地すら与えず、この若きスターを売却する可能性を断固として拒絶した。この冷徹な回答は、リバプールのまかさの補強プランが、いかに困難なミッションであったかを雄弁に物語っている。
バルコラは、現代サッカーで最も価値のある能力の一つであるトランジションのスピードと決定的な局面での冷静さを兼ね備えている。特に、リヨンからPSGへ移籍し、ルイス・エンリケ監督の指導の下でその才能をさらに開花させている進化は目覚ましい。
左サイドからカットインして右足でフィニッシュに持ち込む動作、そして深い位置からのドリブル突破は、かつてリバプールの攻撃を牽引したサディオ・マネや、現状のルイス・ディアスに通じる躍動感がある。またサイドでボールを持つだけでなく、相手守備ラインの裏側を鋭く突き、瞬時にゴール前へ侵入する能力に長けている。
データ面で見ても、彼のプログレッシブ・キャリーの回数と成功率はリーグ・アンでトップクラスに位置する。ガクポとレギュラー争いを繰り広げられるアタッカーを求め、長期的な目線ではモハメド・サラーの後継者として理想的な人材と言える。
リバプールが提示したとされるオファーの具体的な金額は公にされていないが、現在の市場価値とPSGの強硬な姿勢を鑑みれば、最低でも1億ユーロに近い巨額を覚悟しなければ、交渉のテーブルに着くことすら不可能だったろう。
スポーツディレクターであるリチャード・ヒューズが率いる新たな強化部は、市場のトップクラスのタレントを躊躇なく狙う姿勢を見せつけたが、その挑戦は世界最高峰の資金力を持つクラブの鉄壁に阻まれた。
とはいえ、今のリバプールがバルコラに熱視線を送る可能性はゼロに近い。ボーンマスFWアントワーヌ・セメニョのリリース条項を発動すると報じられており、バイエルン・ミュンヘンFWマイケル・オリーセにも関心を示す中、1億ユーロを超える移籍金の捻出は考えにくい。
フェデリコ・キエーザら控え組への信頼があまり見せないアルネ・スロット監督だが、新たなウィンガーをチームに迎え入れるのだろうか…？