モハメド・サラーがリバプールから欧州のビッグクラブへ移籍を模索している。スペイン紙『Fichajes』の報道によると、エジプト代表ウィンガーのエージェントはバルセロナ、レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘンの3クラブに自ら売り込みをかけたようだ。
2017年夏にASローマから3900万ユーロでアンフィールドに到着して以来、プレミアリーグ屈指のストライカーとして君臨してきた33歳のウインガーだが、アルネ・スロット監督との関係悪化により、その輝かしいキャリアに転機が訪れている。
サラーとスロット監督の関係は、もはや修復不可能な段階に達したようだ。リーズ・ユナイテッド戦で3試合連続のベンチ外となったサラーは、試合後のミックスゾーンで堰を切ったように不満を口にした。クラブが自分を生贄にしようとしている、夏に約束されたことが守られていない――。かつてアンフィールドの英雄として崇められた男の言葉は、ファンに衝撃を与えた。
今シーズンのサラーは、明らかに本来の輝きを失っている。プレミアリーグ13試合で4ゴール2アシストという数字は、昨季の29ゴール18アシストという驚異的なパフォーマンスとは程遠い。しかし、数字だけがすべてではない。チームも不安定な戦績に苦しんでおり、チーム全体が機能不全に陥っているなかで、サラー個人だけを責めるのはフェアとは言えまい。
それでもスロット監督は、サラーをベンチから外すという決断を下した。オランダ人指揮官は、ベテランウインガーにより控えめな役割を求めているとされるが、サラー本人はそれを受け入れられない。この対立の根底にあるのは、戦術的な相違だけでなく、クラブの未来像をめぐる根本的な認識の違いである。
とはいえ、サラーの行動次第ではふたたびチームに帯同し、スロット監督のもとでプレーする未来も残されている。一方で、サウジアラビアを始めとしてクラブは虎視眈々とその状況を見守っており、早ければこの冬にも行動に移す可能性も報じられている。
ただし、今回の報道が真実なのであれば、エジプシャン・キングの気持ちはヨーロッパでの戦いを求めているものの、スペインの2強やブンデスリーガ王者への移籍は困難を極める。
レアル・マドリードに関しては、近年30歳以上のベテラン獲得を避ける方針を貫いているため、可能性は低い。バルセロナは過去に短期的な解決策を好む傾向があり、理論上はサラー獲得に興味を示す可能性がある。
だが、ラミン・ヤマルが右サイドの絶対的エースとして君臨する現状では、同じポジションを好むサラーの居場所は限られ、サラーの高額な給与も大きな障害になり得る。バイエルン・ミュンヘンについても、フランス代表FWマイケル・オリーセが君臨しており、補強の必要性は低い。
2025年4月、サラーは2027年までの契約延長に合意したばかり。リバプールとしても一部で報道されている相互合意の契約解除に納得するとは思えず、資金力のある中東やアメリカ行きが現実的な路線になる。
さもなければ、オランダ人指揮官やクラブとの関係を再構築しなければ、これから1年半もの間、ギクシャクした関係が続く可能性もある。はたして、得点を量産してきたサラーとリバプールとの歩みは近く終焉するのか、もしくは持ち直して来シーズンもアンフィールドに留まるのだろうか…?
