スタンレーパークを挟んだライバル、エバートンで今季孤軍奮闘の輝きを放つイリマン・エンディアイエに対し、リバプールが正式に関心を寄せている。フランスメディア『Footmercato』が報じたこのスクープは、マージーサイドダービーがピッチ外でも勃発する可能性を示唆した。
アルネ・スロット体制2年目を迎え、アレクサンデル・イサク、フロリアン・ヴィルツというワールドクラスの才能を次々と手中に収めたレッズが、あろうことか宿敵のテクニシャンを引き抜こうと画策している。
もし実現すれば、2002年のアベル・シャヴィエル以来となる禁断の移籍となる。この噂が真実ならば、アンフィールドの首脳陣は、感情的な摩擦を恐れずに勝利だけを見据えた冷徹な計算をはじめている。
かつてアンフィールドを熱狂させたルイス・ディアス、ダルウィン・ヌニェス、そして「最良のフィニッシャー」であったディオゴ・ジョッタはもういない。彼らと入れ替わるようにやってきたのは、スウェーデンの怪物アレクサンデル・イサク、ドイツの至宝フロリアン・ヴィルツ、そして未完の大器ウーゴ・エキティケ。
ただし、イサクとヴィルツは新たな環境に苦戦し、本来の力を発揮しているとは言い難い。エキティケが新加入の中でも奮闘しているが、チーム全体のパフォーマンスレベルが落ち込んでおり、ボールをもらえない試合も少なくない。
ここでエンディアイエの価値が浮き彫りになる。エバートンという苦しい台所事情の中で、背番号10を背負い、ここまでリーグ戦で輝きを放ち続けている。最大の魅力は、テクニシャンでありながら、誰くさくピッチを這いずり回れる献身性。
スロットのサッカー哲学において、前線のアタッカーは最初のディフェンダーでなければならない。華麗なパスワークで崩すヴィルツや、ゴール前で仕事を完遂するイサク、天才的な閃きを見せるエキティケに対し、エンディアイエは彼らが輝くためのスペースと時間を、そのハードワークで作り出すことができる。
シェフィールド・ユナイテッド時代から培われたインテンシティは、グディソン・パークの厳しい要求の中でさらに磨きがかかった。狭い局面をドリブルで打開するスキルを持ちながら、決して足を止めない。
右ウイング、左ウイング、トップ下、そして偽9番。イサクやエキティケの好不調の波をカバーすることも、ヴィルツを過労から守ることも可能になる。新生リバプールに欠けていた最後のパズルのピース、すなわち戦えるテクニシャンを加えるための極めて論理的な一手にも映る。
そして、この補強の裏には、依然として解決を見ない「王」の問題が横たわっている。モハメド・サラーは33歳を超えてなお、右サイドの支配者として君臨している。しかし、その契約状況と長期的な未来については、常に不穏な空気が漂っているのが現実。
クラブは「サラー後」の世界を、ヴィルツを中心としたユニットで再構築しようとしている。だが、プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、国内カップ戦と続く過密日程を戦い抜くには、前線の層が薄すぎる。
エンディアイエはサラーの直接的な後継者ではないが、サラーが欠場した際、あるいは退団した際に、攻撃のメカニズムを崩さずに穴を埋めることができる数少ない適任者になり得る。エキティケがまだ粗削りな部分を残している現状、プレミアリーグの激しさを熟知し、計算できる存在であることは、タイトル争いの佳境で必ず大きな武器となる。
とはいえ、リバプールが現時点でエバートンのアタッカーに白羽の矢を立てるとは想像しにくい。ライバル関係もあるが、ボーンマスのガーナ代表FWアントワーヌ・セメンヨら優先すべきターゲットであり、わざわざ地元から引き抜く必要性は乏しい。
はたして、リバプールが禁断の移籍を実現に移すべく動き出す未来はあるのだろうか…?
