2025年も幕を閉じようとする今、移籍市場の熱狂はひとりのノルウェー人ストライカーに集中している。190センチを超える圧倒的な体躯と、北欧の荒波で鍛えられた強靭なフィジカルを武器とするアトレティコ・マドリードに所属するアレクサンデル・セルロートが、ふたたびイングランドの地を踏もうとしている。
かつて若き日にクリスタル・パレスで味わった屈辱を、成熟した今の状態ならば歓喜へと塗り替えることができる。その確信が、イングランドの強豪たちの足をマドリードへと向かわせている。
現在のアトレティコ・マドリードにおいて、アレクサンデル・セルロートは複雑な立ち位置に置かれている。ディエゴ・シメオネ監督は彼の献身的なプレーと勝負強さを高く評価し、貴重な戦力として慰留に努めている。
しかし、選手本人の胸中は穏やかではない。スタメンの座を確約されない現状に強い不満を抱き、自らの全盛期をベンチで浪費することに明確な拒絶反応を示している。試合に出れば確実に相手ディフェンスの脅威となり、ゴールに直結する仕事を遂行できる実力がありながら、序列に甘んじるつもりは毛頭ない。
ノルウェーメディア『Sporten』が報じた内容によれば、リバプールとニューカッスルが、アレクサンデル・セルロートの獲得に向けて本格的な調査を開始したようだ。特にリバプールは、アルネ・スロット監督のもとで新たな攻撃の形を模索しており、アレクサンデル・イサクの負傷も相まって代わりを任せられるフォワードを求めている。
イサクに加えて、ウーゴ・エキティケもチームに迎え入れたリバプールだが、イサクはコンディション不良に悩まされた上に、トッテナム戦での負傷によりしばらく戦線を離脱する。エキティケのみがセンターフォワードを本職とする選手で、様々なストライカーへの関心が報じられている。
ニューカッスルもまた、長年にわたってこのノルウェー代表ストライカーの動向を追い続けてきた。エディ・ハウ監督は、ニック・ウォルトメイドとも共存可能な実力者としてセルロートをリストの最上位に据えている。
昨夏の時点でも獲得の可能性を探っていた彼らにとって、今回の状況は千載一遇の好機となる。プレミアリーグでの経験値を持ち、なおかつスペインで得点能力を爆発させた今の彼ならば、即戦力としてセント・ジェームズ・パークのファンを熱狂させるに違いない。
アトレティコ・マドリード側は、シーズン途中の主力放出には消極的な姿勢を崩していない。しかし、ノルウェー代表FWが抱く出場機会への渇望は、クラブの引き止めを上回る勢いで膨らんでいる。
移籍金を含めた具体的な条件提示があれば、スペインの雄も交渉のテーブルに着かざるを得ないだろう。選手本人は、すでに自らの価値を証明できる場所を求めて心の整理を済ませている。プレミアリーグという世界最高峰の舞台で、かつての自分を否定した人々を見返す準備は整っている。
リバプールにとって30歳のストライカーはあまりターゲットになり得ない。とはいえ、イサクが離脱している期間のみという限定的な補強であれば、十分に獲得に動く可能性もある。問題は移籍金ないし契約形態で、ローン移籍が最低条件となるだろう。
いずれにしても、現時点でリバプールが新たなストライカー確保に動いている可能性は低い。フロリアン・ヴィルツのゼロトップやフェデリコ・キエーザのセンターフォワード起用なども試しており、そこまで重要度の高いポジションとは言えない。
はたして、リバプールはサプライズ補強に繰り出すことはあるのだろうか…？