マージーサイドの冷たい風に吹かれながら、フェデリコ・キエーザは自らの居場所を自問自答している。かつてアッズーリを欧州の頂点へと導いたあの躍動感あふれるドリブルは、アンフィールドのピッチで本来の輝きを放てずにいる。
イングランドの地で苦闘を続けるイタリアを代表するアタッカーに対し、古巣であるユベントスが救いの手を差し伸べようとしている。イタリアメディア『CalcioMercato』によると、冬の移籍市場において、同クラブはフェデリコ・キエーザを最優先の補強ターゲットに据えているようだ。
トリノのクラブにとって、戦術的な選択肢の一つという枠組みを遥かに超えた存在になり得る。元々所属していたこともあって、クラブのアイデンティティを理解しており、停滞する攻撃陣に火を灯すことができる唯一無二の着火剤として、その帰還が熱望されている。
しかし、交渉のテーブルは当初から極めて険しい。ユベントスが最初に提示した条件は、買い取りオプションを持たない純粋なレンタル、あるいは将来的な買い取り選択権を付与した形での譲渡だったそうだ。
この提案に対し、リバプールは即座に拒絶の意思を示した。マージーサイドの首脳陣が求めているのは、一時的な解決策ではなく、完全移籍を希望しているとも。一度獲得した才能を安易な条件で手放すことは、あまり現実的ではない。
リバプールの姿勢は一貫しており、一切の妥協を排している。キエーザを放出するのであれば、それは完全移籍による売却でなければならない。プレミアリーグの激しい強度に順応しきれなかったとはいえ、ポテンシャルと市場価値を考えれば、安売りは断じて許されないというのがイングランド側の論理。
だが、ユベントスの情熱は潰えていなかった。事態を劇的に動かしたのは、ユベントスのフロント陣による迅速な方向転換。最高経営責任者を務めるダミアン・コモリと、スポーツディレクターのマルコ・オットリーニは、リバプールを納得させるための緻密なスキームを構築。それが、有償のレンタル移籍に特定の条件を満たした場合の買い取り義務を付帯させるという提案である。
この買取義務という条項が持つ重みは計り知れない。それは将来的な支払いを確約する公的な約束であり、実質的には完全移籍と何ら変わらない経済的効果をリバプールにもたらす。同メディアによると、リバプール側もこの形態のオファーであれば受け入れる公算が高いと伝えている
問題は後任がいないことだろう。リバプールにとって、それなりに計算できる元イタリア代表のアタッカーがいなくなるのであれば、同等かそれ以上のウィンガーを手中に収める必要があり、ただでさえトップレベルの選手確保が難しいこの冬の移籍市場で、ユベントス復帰を容認する可能性は低い。
はたして、継続的に報じられるキエーザのセリエA復帰は実現するのだろうか…?
