バイタリティ・スタジアムで繰り広げられた一戦は、リバプールは機能不全を白日の下に晒した。フィルジル・ファンダイクとドミニク・ソボスライが執念でこじ開けた同点弾も、アミン・アドリに許した終了間際の逆転ゴールですべてが霧散した。
この敗北は、アルネ・スロット監督の手腕に対する疑念がふたたび増幅。今、アンフィールドに集う人々の視線の先には、かつてこの地で中盤を支配し、バイエル・レバークーゼンでブンデスリーガ無敗優勝を成し遂げたシャビ・アロンソがいる。
昨シーズンにプレミアリーグを制覇したチームから一転し、大型補強でオランダ人指揮官が志向するポゼッションサッカーに本格的に移行したものの、依然として目指すサッカー像を見出すことに苦戦しており、試行錯誤が続く。
優勝を争うアーセナルやマンチェスター・シティからは大きく勝ち点を離されており、チャンピオンズリーグ出場権争いを勝ち抜くのが現実的な目標となってしまっている。それ以上に、固定メンバーに固執し、若手を蔑ろにするような起用方法にはサポーターを中心に不満が増えており、スロット・サッカーがつまらないとの声も多くなっている。
現時点で、リバプールがスロットを解任させるとは思えないが、このまま不甲斐ない戦いぶりでシーズンを終えた場合には、首脳陣が決断を下す可能性は否定できない。そして、シャビ・アロンソがトップターゲットとして噂されている。
スペイン紙『AS』によると、リバプールは、今月始めにレアル・マドリードの監督を退任したばかりのシャビ・アロンソに対し、正式に後任としての打診を行ったようだ。スター選手のエゴに押し潰された元スペイン代表MFだが、その手腕への評価は低下してない。
この動きは迅速かつ冷徹。クラブ内部の有力者たちは、シャビ・アロンソこそが混乱を収束させる唯一の鍵であると確信しているとも。実際に、彼の代理人との初期段階の交渉は驚くほど前向きな感触を得ており、シャビ・アロンソ自身もアンフィールドへの帰還を強く熱望している。
レアル・マドリードでの任期はわずか34試合という短い期間で幕を閉じたが、それは彼の評価をいささかも損なうものではない。むしろ、サンティアゴ・ベルナベウという巨大なプレッシャーから解放され、フリーとなったこの瞬間は、リバプールにとって千載一遇の好機となる。
現役時代の活躍からもアンフィールドでの人気は高い。選手として210試合に出場し、18ゴール20アシストを記録。イスタンブールの夜、チャンピオンズリーグのトロフィーを掲げた勇姿は、クラブの歴史そのもの。
なにより、今シーズンからリバプールでプレーする元バイエル・レバークーゼン組、フロリアン・ヴィルツとジェレミー・フリンポンを生かす術を熟知している。特にヴィルツはモハメド・サラーに代わって、次世代のリバプールにおける中心になることが期待されており、相性の良い指揮官の存在は選手にとってもプラスとなる。
とはいえ、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドとは異なり、シーズン途中で別れを告げる可能性はほぼゼロ。よほど降格圏に沈むなど酷い結果になれない限りは、シーズン終了までチャンスが与えられるだろう。
いずれにしても、スロット監督や周りのコーチ陣への不信感は募っているのは事実であり、サポーター人気も高いシャビ・アロンソ監督の誕生も全くあり得ない話ではないのかもしれない…
