リバプールの編成を見渡すと、今夏に向けた最大の論点はやはり前線の再設計である。とりわけ右ウイングは、長年チームを支えてきたモハメド・サラーの存在があまりにも大きい。得点力だけでなく、押し込む局面での保持、カウンターの出口、試合を決め切る精度まで担ってきた選手だけに、その去就が揺れれば補強リストの優先順位も大きく動く。
バイエルン・ミュンヘンFWマイケル・オリーセを筆頭に、RBライプツィヒの19歳FWヤン・ディオマンデらヨーロッパで活躍するウィンガーがターゲットとして浮上する中、その視線の先にはサウジアラビアからプレミア復帰が噂されるアル・イテハド所属のムサ・ディアビが映っている。
海外メディア『Team Talk』によると、リバプールはこの夏の獲得に向けて接触を進めており、すでに選手サイドと話し合いの場も持っているようだ。かつてアストン・ヴィラでプレーしたフランス人ウインガーは現所属クラブを離れる可能性が高まっており、サラーの長期的な後継候補として本格的に検討しているという。
ディアビの最大の魅力は、加速力だろう。ボールを持ってからトップスピードに入るまでが速く、相手の足並みが揃う前に局面を前へ運べる。右に張って縦へ行く形だけでなく、左足で内側へ切り込んでラストパスやフィニッシュに持ち込むプレーも備えているため、単純なタッチライン際の突破役では終わらない。
一方で、サラーの代役という見方には慎重さも必要となる。ディアビは突破力と運搬力に秀でるが、サラーが続けてきたような得点の積み上げ、狭い局面での崩し切る質、守備を引きつけたうえで周囲を生かす完成度まで同列に置くのは難しい。
プレミアリーグ経験があるとはいえ、アストン・ヴィラ時代に見せた波のあるパフォーマンスも忘れてはならない。試合の流れをひとりで変える爆発力は魅力だが、毎週の基準点になれるかは別の話。ヴィラでは通算54試合10ゴール11アシストと、得点力は物足りない。
サラーの年齢による衰えもあって、リバプールのウイングで幅と推進力を継続的に出せる純度の高いアタッカーは少ない。元イタリア代表FWフェデリコ・キエーザはイングランドで苦戦が続き、スロット監督は17歳FWリオ・ングモハの起用には慎重な姿勢を崩していない。
オランダ代表FWコーディ・ガクポはスピードを特長となるタイプではなく、ウィンガーにスピードが足りてないのは事実。ディアビが加われば、背後への走力を前提にした速い攻撃を強化でき、相手が高いラインを取る試合では大きな武器になる。
年齢、経験、欧州での実績を踏まえれば、即戦力と再成長の両方を見込める余地はある。市場に出るタイミングが本当に訪れるなら、競争が激しくなる前に判断したいターゲットになり得るが、そのポテンシャルはサラーに並び立つとは思えない。
リバプールが狙うのは、本物の才能。エジプシャン・キングというプレッシャーにも耐えられる人材であり、個人的にはパリ出身のウィンガーがアンフィールドのピッチに立つ未来は描きにくいが、はたして…!?
