昨夏の移籍マーケットにおいて大金を叩いて補強した前線や中盤の充実ぶりに比べて、最終ラインの将来設計は今後のリバプールを占うポジション。35歳を目の前にするフィルジル・ファンダイクが守備の軸であるが、後継者問題は常に付き纏っている。
加えて、フランス代表DFイブラヒマ・コナテの契約まわりが落ち着かないまま進めば、補強における優先順位が一気に変わっても不思議ではない。さらに言えば、ジョー・ゴメスにも退団の話が持ち上がっており、すでに獲得を内定させている20歳DFジェレミー・ジャケだけでは足りない可能性がある。
スペイン紙『Fichajes』によると、リバプールはノッティンガム・フォレストに所属するブラジル代表DFムリーロ獲得に向け、8000万ユーロ前後のオファーを準備しているようだ。さらに同メディアは、コナテが契約満了に近づくなかで退団が見込まれており、その後継候補としてムリーロへの動きを強めていると伝えている。
ムリーロの魅力は、対人守備の強さだけではない。左利きのセンターバックとしてボールを前へ運ぶ力があり、プレスを受けても慌てずに持ち出せる。守る時間が長いチームでも集中を切らさず、カバー範囲も広い。
空中戦や1対1の粘りに加え、低い位置から配球の起点になれる点は、最終ラインから主導権を握りたいスロット・サッカーに適応すること間違いない。プレミアリーグでの経験をすでに積んでいるキャリアも、海外市場の有望株とは異なる安心材料になる。
もっとも、8000万ユーロ級の評価が妥当かは不透明。ノッティンガム・フォレストでは守備強度の高い場面で力を出してきた一方、常に高いラインを維持し、背後の広大なスペースを管理するリバプールのセンターバックには別種の難しさがある。
相手を押し込む展開での立ち位置、保持時のテンポ、最終ライン全体を動かす連係は、加入後すぐに完成するものではない。能力は高くても、移籍金に見合う即戦力性まで保証されるわけではない。
とはいえ、コナテがリバプールと契約延長せずに退団を選んだ場合、後方の強度と足元の質を同時に補える人材が必要になる。ファン・ダイクの負担を減らしながら、数年先の守備陣を組み直すうえでも年齢面は貴重な存在になり得る。
右利き中心になりがちな陣容に左利きのセンターバックを加えるのもメリットが大きい。ディフェンダーの補充ではなく、ビルドアップの設計まで含めた補強として考えれば、この名前が取り沙汰される流れには筋が通る。
ただ、今回の報道はまだ入口に過ぎない。コナテの去就が本当に具体化するのか、フォレストがどこまで強気の姿勢を崩さないのかで景色はすぐ変わる。また、フォレストはプレミアリーグからの降格争いに巻き込まれており、万が一にもチャンピオンシップへ降格することになれば、別の物語が動き出す。
ムリーロは年齢、リーグ適応、プレースタイルの三拍子が揃った候補であり、名前が挙がること自体に違和感はない。はたして、リバプールはイングランドサッカーでも実力を証明してきたブラジル人DFをアンフォールドに連れてくることになるのだろうか…?
