リバプールに生まれ、10代で地元クラブのレギュラーに定着。多種多様な軌道のパスやクロスを蹴り出す右足はプレミアリーグでもトップレベルで、モハメド・サラーやジョーダン・ヘンダーソンとの連携から数々のゴールを演出してきたイングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルド。
元々ディフェンス面は懸念点であった。今シーズンはチーム全体が不調に苦しみ、パサーにプレスを掛けられないことで右サイドバックの裏を突破されることも多くなった。加えて、相手の右サイドからのクロスに対して、マーキングが甘く、簡単にヘディングからゴールを奪われるシーンも散見され、批判の的になっている。
そんな中、かねてから待望論が出ていた中盤での起用が続いている。とはいっても、攻撃時限定の措置であり、守備時はサイドバックとして帰陣する。偽サイドバックと言われる役割を与えられたイングランド代表は、直近のリーズ戦でその能力を余すところなく発揮し、6ゴールでの快勝に貢献。
フランス代表DFイブラヒマ・コナテが幅広いエリアをカバーし、1対1でほぼ負けなしで対応してくれるからこそできる芸当ではあるものの、新フォーメーションが機能した。元イングランド代表FWダレン・ベントはアーセナルで同じような役割を務めるウクライナ代表DFオレクサンドル・ジンチェンコと比較しつつ、トレントの活躍ぶりを大絶賛した。
「あれこそが彼の役割だ。」
「彼のテクニックとボールに対する能力から、おそらくリーグのどのディフェンダーよりも、その役割を果たすことができるだろう。」
「あのインサイドハーフの役割は、(オレクサンドル・)ジンチェンコが信じられないほど上手くこなすが、トレントはジンチェンコよりもテクニックがあり、パスの範囲も広い。」
「もし、あのポジションでプレーするトレントの能力を最大限に引き出すことができれば、すばらしいことだ。」
talkSPORT
まだまだ2試合くらいしか実績がなく、前節でクリスタル・パレス相手にも5失点を喫したリーズ・ユナイテッドだけに参考になるかは分からない。それでも、プレミアリーグを舞台に、新境地を開拓できたことは大きな収穫だ。
昔から守備負担を軽減するためにも、前のポジションでの起用が叫ばれていた中、トレント・アレクサンダー=アーノルドにとっても、ユルゲン・クロップ監督にとっても新たな時代に一歩足を踏み入れたのかもしれない…