2018年の夏、マンチェスター・ユナイテッド加入が濃厚と見られていた当時モナコMFファビーニョは、予想を覆してリバプール移籍を決断。以来、中盤の底に君臨し、試合を読む力や適切なポジショニングで相手からボールを奪い続けた。
今シーズン前半戦こそ体が重く、本来の実力から乖離したパフォーマンスを披露し、限界説も流れるほどに。しかし、後半戦からは盛り返し、素早いプレスからのボール奪取が復活。終盤に連勝を重ねた原動力となった。
クロップ・サッカーに欠かせない守備的ミッドフィルダーとして活躍を続けるもブラジル代表だが、入団当初はアンフィールドの雰囲気に圧倒されていたようで、最初の試合に限っては、ピッチよりも観客席ばかり見ていたと吐露している。
「リバプールでプレーすることが本当はどのようなことなのか、説明させて欲しい。プレミアリーグの試合を初めて体験したとき、僕は目の前の試合をほとんど見ていなかった。」
「2018-19シーズンの8月、アンフィールドでウェストハムを4-0で倒した。僕はベンチに座っていたけど、90分間ずっとファンを見ているだけだったような気がする。」
「イングランドに来る前も、プレミアリーグをテレビで見ていて、あの特別な雰囲気、特にアンフィールドの雰囲気について少しは知っているつもりだった。アンフィールドに到着すると、”You’ll Never Walk Alone” を聞き、ファンが歌を歌い、審判を侮辱することを予期していた。そのすべてが好きだったよ。」
「しかし、ライブがどのようなものであるかということについては、何も準備することなんてできない。ピッチ上のすべての行動に対して、スタンドが反応するんだ。」
「タックルやプレス、ファウルの可能性があるたびに、僕は振り返って、ファンが熱狂しているのを注視していた。僕は魅了されたし、ただただ感心していた。あのノイズ、あのパッション…こんなものを見たことがなかったんだ。」
「ファンもチームの一員だ。僕たちのプレーに影響を与える。 “ヘビーメタル・フットボール” は、彼らなしには成立しない。彼らは、僕たちのあらゆる動きを後押ししてくれる。決して立ち止まらせてはくれない。ボールが中盤で止まっていて、何もかもうまくいかないように思える瞬間でも、彼らの声を聞くと…誰かが耳元で “行け、行け、行け!!” と叫んでいるような気がする。」
「そして、僕のポジションでは、チャレンジに勝つと、まるでゴールしたかのように祝ってくれるから最高だよ!」
「僕がリバプールを愛する理由の大部分はファンの存在であり、僕たちは一緒に信じられないようなことを成し遂げてきた。」
「ここに来たことは、僕のキャリアにとって最高の出来事だった。ここに来れるなんて、想像もできなかった時期もあった。」
The Players’ Tribune
まもなく30歳を迎えても円熟味を増すパフォーマンス。18歳MFステファン・バイチェティッチが台頭し、今夏の移籍市場では勢いのあるミッドフィルダーが2~3名加入予定で、中盤のレギュラー争いは激しくなる。
しかし、ふたたびプレミアリーグ優勝争いに絡むにはブラジル代表MFの力は必要であり、来シーズンはシーズン通して安定したプレーぶりを見せてくれるはずだ…