アイルランド出身GKクィービーン・ケレハーは今シーズン、アリソン・ベッカーとアドリアンに次ぐ第3GKとしてチームを支えている。カップ戦もアドリアンが担当することが多く、ほとんど出番に恵まれなかった。チャンピオンズリーグのグループステージ第5節アヤックス戦でついに試合出場を射止めた。
不安定なパフォーマンスを繰り返すアドリアンに代わり先発出場したケレハーは、決定機にビッグセーブで失点を防ぎ、クリーンシート達成に貢献。チームもアカデミー出身ネコ・ウィリアムズのクロスに走り込んだカーティス・ジョーンズ(同じくアカデミー出身)が相手GKの頭上を超えたボールを見事なコントロールで決勝点をマークした。
若手が揃って活躍したことは、怪我人が続出するチームにとって朗報以外の何物でもない。自信を失っていたように見えたネコ・ウィリアムズが本調子を取り戻し、カーティス・ジョーンズも新たな自信を手に入れた。中でも、久しぶりにトップチームでゴールマウスを守り、無失点を成し遂げたクィービーン・ケレハーは、試合後にスマホが鳴り止まなかったことを明かしている。
「ロッカールームに戻ったら、スマホがずっと鳴りっぱなしだったよ。みんなのサポートやすべてのメッセージに感謝したい。ほんとに感謝しかないよ。」
試合前にアリソン・ベッカーのハムストリング負傷により、来週いっぱいは試合出場できないことが明かされた。普段なら第2GKアドリアンがスタメンに名を連ねるはずだが、リバプールはアイルランドU-21代表GKに出場の機会を与えた。試合後のインタビューで、ユルゲン・クロップ監督は今回の選択の経緯について語った。
「スタメンにケラハーを選ぶのは難しくない決断だった。ケラハーはよくやっている。だけど、アドリアンと比較すると、選択が難しくなる。彼もまたクラブに貢献してくれているからね。」
「ケラハーはほんとに良い仕事をしてくれた。彼はトップタレントで、ほんとに素晴らしいシュートストッパーだ。それに、トッププレーヤーだね。」
「端的に言えば、ボールをネットに入れさせないようにするのが仕事であり、ケラハーは2度に渡りボールを弾いてくれた。今夜はゆっくり眠れるか、もしくは全く眠りにつけないだろうね。」
2015年にリバプールアカデミーに入団して以来、アカデミーを中心に実力を育んできた。昨シーズンからはカップ戦などでトップチーム経験を積み、火曜日に初めてとなるチャンピオンズリーグデビューを飾った。デビュー戦を抜群のパフォーマンスで終え、クィービーン・ケレハーは興奮した状態で、メディアのインタビューに応じた。
「チャンピオンズリーグの試合でデビューできて、最高の気分だよ。最も重要だったのは、チームの勝利とグループステージ突破も達成できて…ほんとに最高の夜になった。」
「いつでも準備万端でいれるように、毎日トレーニングに励んでいる。幸運にも、今夜はいくつか良いセーブができたね。」
「(バックパスの対処について..)正直言えば、とっても容易だね。バックパスが巡ってきても、ピッチの選手たちがパスコースを作ってくれるから、パスの選択に全く困らない。うまくパスコースを誘導してくれる選手たちがいると、対処を簡単にしてくれる。」
「ただベンチを温めるためにここにいるわけではない。毎日尽力して、数多くの試合に出場したい。チームは違いを生んでいるし、改善し続けている。良いチーム状況だよ。」
パスミスや前線への飛び出しなど判断ミスが多いアドリアンで、今シーズンはとくに批判に晒されている。元々そのあたりの能力が一級品ではないため、トップレベルを求めるのは酷に映る。それでも、クィービーン・ケレハーの活躍によって、アドリアンもうかうかしていられない。
アリソン・ベッカーも離脱することが少なくない状況下で、控えGKの活躍がチーム躍進の鍵を握る。アドリアンとケラハーが切磋琢磨し、ふたたび離脱することとなったアリソンの穴を埋めてくれるだろう。