2013年の冬にインテル・ミラノからリバプールに加入した元ブラジル代表MFフィリペ・コウチーニョは、ユルゲン・クロップ監督が就任する以前からチームの主軸として活躍。リトル・マジシャンとの愛称も付けられ、ボールが吸い付くようなドリブルや意表を突く抜群のパスセンスで、54ゴール45アシストを決めた。
ブラジル代表でも68試合21ゴールと攻撃面で貢献し続けたミッドフィルダーは、2018年の冬に多額の移籍金と引き換えに、バルセロナに移籍した。熱望していたスペインでのプレーだったが、目立った結果を残せずに、皮肉なことに2019/20シーズンにはレンタル先のバイエルン・ミュンヘンでチャンピオンズリーグを制覇した。
バルセロナにおいて、毎年のように売却対象となり続けたが、高額な移籍金と給与がネックになり、買取先が見つからずに時間だけが過ぎた。最終的には、現役時代にともに戦った元イングランド代表MFスティーブン・ジェラード率いるアストン・ヴィラに半年間のローンを経て、2022年の夏に完全移籍。
しかし、信頼を寄せた指揮官が成績不振で解任されると、後任のウナイ・エメリ監督からは信頼を抱かれずに、昨夏の移籍市場において、カタールのアル・ドゥハイルに1年間のレンタル移籍が決定。中東では怪我の影響もあり、完全復活とならず、期待はずれのパフォーマンスに終始している。
アンフィールドでの輝かしいキャリアが霞むくらいに、その後のキャリアは下降線を辿った。客観的にはバルセロナ移籍が間違った決断に思えるが、選手本人は当時の選択を後悔しておらず、ラ・リーガでも様々なストーリーを紡いだ、と明かしている。
「いや、後悔はしていない。」
「人々の予想通り、自分の予想通りにはいかなかったが、それは僕がグラウンドで自分に多くを求めるタイプの人間だからで、ピッチではもっと力を出さなければいけないと自分に言い聞かせているんだ。あらゆることに挑戦し、常にプロフェッショナルであり続けたから何も後悔はないよ。」
「バルセロナでプレーするのが夢だったし、そこで楽しんだし、多くの人と出会い、タイトルを獲得することができた。それは僕の人生の物語にずっと残るだろう。」
「何も。何も変えないよ。戻ることは不可能だけど、さっきも言ったように後悔はしていないし、ここでも去年も来年も、トレーニングでは常に全力を尽くしている。うまくいけば最高だし、そうでなければ我慢するのみだ。」
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