モハメド・サラーには常に移籍の噂がつきまとう。サディオ・マネとの仲違いや試合中盤の途中交代など不満を漏らしそうな状況になれば、メディアはこぞって退団のニュースを掻き立てる。カリム・ベンゼマへの依存から脱却するため、エースの獲得を目指すレアル・マドリードが狙っているとも言われ、去就はいつも注目の的である。
報道によれば、かつての銀河系軍団からの興味にも、リバプールはエースを手放す気はない。新型コロナのパンデミックによる財政悪化は、各リーグのトップチームにも影響を及ぼしており、昨夏にチェルシーが敢行したような大型補強をできるクラブは数少ない。大幅な収入減からは、レアル・マドリードですら逃れられず、選手売却なしにスター選手獲得は難しいと言われている。
クリスティアーノ・ロナウド放出以来、元フランス代表への負担が増え続けている。33歳となったベンゼマだが、センターフォワードのスタメンとして、リーグ戦で15得点を決めており、数字的にもエースの重責を担っている。期待外れのエデン・アザールに加え、ヴィニシウスらも結果を残せていない。チーム内ゴールランキングで、ブラジル代表MFカゼミロが2位につけているのが、現状を表している。
エデン・アザールやイスコら満足のいくパフォーマンスを見せられない選手たちに加え、マルセロらベテラン勢に、若手選手たちを売却して、資金をかき集める方法はいくらでもある。しかし、どこのチームもパンデミックで費やせる資金は限られ、ネイマール・バブルの終焉も近いため、通常の移籍金での売却は困難になるはずであり、通常よりも安い金額での放出を求められることだろう。
そうした背景もあり、モハメド・サラーへのオファー額も要求よりは減額される可能性が高い。ただ、FSGは格安でエースを手放す考えはない。納得のいく提示額でない限りは、エジプシャン・キングがアンフィールドを離れることはなさそうだ。
フィリペ・コウチーニョの移籍金で、フィルジル・ファンダイクやアリソン・ベッカーを獲得したのは有名な話。いまだに支払い余地を残すリバプールにとって『金のなる木』であるブラジル代表MFの成功事例を、モハメド・サラーにも当てはめたいという思惑が感じられる。リバプールでの不満も伝えられるだけに、高い売却益を別の世界的なゴールスコアラー獲得に充てたいところ。
夏の移籍市場では何が起こるか、誰にもわからない。思ったよりも魅力的なオファーが届けば、退団を容認する可能性も否定はできない。果たして、今シーズンもゴールを量産するエースを手放す未来がやってくるだろうか?そして、その場合の代役は誰になるのだろうか?
ディボク・オリギやシェルダン・シャキリ、ジョルジニオ・ワイナルドゥム、アレックス・オックスレイド=チェンバレン…退団可能性が残る選手たちも多く、今夏の移籍市場は注目せざるを得ない…