カタールW杯欧州予選3試合(サンマリノ、アルバニア、ポーランド)に臨むイングランド代表メンバーが発表され、弱冠17歳ジュード・ベリンガム(ドルトムント)が招集されるなど、世代交代への足音が聞こえる。また、サム・ジョンストン(ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン)とオリー・ワトキンス(アストン・ビラ)が初招集となり、代表デビューを飾るかもしれない。
驚きをもって受け止められたのは、プレミアリーグ屈指の右サイドバックであるトレント・アレクサンダー=アーノルドの招集が見送られたこと。同じくリバプールでプレーするジョーダン・ヘンダーソンが負傷により招集外となっており、イングランド代表にリバプールの名前がないという異常な状態が生まれた。なお、右サイドバックのライバルであるアーロン・ワン=ビサカ(マンチェスター・ユナイテッド)も選考から漏れている。
怪我人に悩まされ続けるリバプールにとっては、負傷のリスク回避ならびにコロナ感染リスクの軽減と両面でメリットしかなく、ありがたいメンバー選考となった。イングランド代表ガレス・サウスゲート監督は会見でリバプールDFを外した理由を説明し、原因はパフォーマンスの低下にあると述べている。
「ピッチ上において、いくつかのポジションで競争が非常に激しい。トレントはとても不運だね。」
「今シーズンのプレーは、過去数年間のパフォーマンスに及んでいないと思う。でも、本来のレベルまであと一歩のところまで来ている。ここ数週間で、確実によい方向に歩んでいる。」
「リース・ジェームズやキーラン・トリッピアーがそれぞれのクラブで、格段に良いパフォーマンスを披露している。カイル・ウォーカーもマンチェスター・シティで素晴らしいフォームを維持しているんだ。」
「プレミアリーグにおいて、マット・キャッシュ(アストン・ビラ)やルーク・アイリング(リーズ・ユナイテッド)ら、あのポジションで良いプレーを披露している選手も多い。イングランドU-21代表でも素晴らしいサイドバックが2名もおり、激戦必死のポジションになっている。」
個人的には選出された右サイドバックのすべての試合を追えてないため、比較して評価を下すことはできない。加えて、シーズン前半戦のパフォーマンスは明らかに低調そのものであったため、その印象が強く残っている可可能性がある。それに、昨シーズンほどアシストを重ねられていないのも、要因となっている可能性は否定できない。
一方、年明けからのパフォーマンスレベルは招集に値する。チームの状態とは反比例するかの如く、プレーの精度や動きが大幅に改善しており、苦戦し続けるチームにおいて、ポジティブなポジションと言える。確かに、ポジション争いが激しいのは理解している。イングランド代表では、攻撃的MFと同じ程度、熾烈な定位置争いが繰り広げられている。
守備に難があると言われて久しいトレント・アレクサンダー=アーノルドだが、サウスゲイト監督の判断にはいささか懐疑的。驚異的な長短のパスに、鋭いクロスを繰り出す特長は、違いを生み出す。今回招集された3選手は、プレースタイルが似ている印象が強い。際立つ差別化ポイントがなく、典型的なサイドバックを揃えたように思えて仕方ないのが、少し残念である。
とはいえ、イングランド代表好きとしては、選出されたメンバーに期待したい。新世代のイングランド代表を引っ張るはずのフィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)やブカヨ・サカ(アーセナル)、ジュード・ベリンガム(ドルトムント)らには特に注目したい…
なお、今回のイングランド代表は以下の通り:
=GK=
ディーン・ヘンダーソン(マンチェスター・U)
サム・ジョンストン(ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン)
ニック・ポープ(バーンリー)
=DF=
ベン・チルウェル(チェルシー)
コナー・コーディー(ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ)
エリック・ダイアー(トッテナム・ホットスパー)
リース・ジェームズ(チェルシー)
ハリー・マグワイア(マンチェスター・ユナイテッド)
タイロン・ミングス(アストン・ビラ)
ルーク・ショー(マンチェスター・ユナイテッド)
ジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)
キーラン・トリッピアー(アトレティコ・マドリー)
カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)
=MF=
ジュード・ベリンガム(ドルトムント)
フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)
ジェシー・リンガード(ウエスト・ハム)
メイソン・マウント(チェルシー)
カルビン・フィリップス(リーズ・ユナイテッド)
デクラン・ライス(ウエスト・ハム)
ジェームズ・ウォード=プラウズ(サウサンプトン)
=FW=
ドミニク・カルバート=ルーウィン(エバートン)
ハリー・ケイン(トッテナム・ホットスパー)
マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)
ブカヨ・サカ(アーセナル)
ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)
オリー・ワトキンス(アストン・ビラ)