バルセロナとの口頭合意が伝えられたオランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥム。本人の口からは何も語られておらず、合意報道も真意に乏しい。それでも、現時点でリバプールとの契約延長に進展が見られず、退団は避けられない状況になっている。新天地がスペインになるのか、はたまさイタリアに新しいチャレンジを求めるのか、メディアの興味はワイナルドゥムの移籍先に変わりつつある。
ここ数ヶ月、元ニューカッスルMFの代役候補として、数々のミッドフィルダーの名前が浮上しては消えを繰り返している。何度も出てくる名前には、レナト・サンチェス(リール)やイヴ・ビスマ(ブライトン)、ロドリゴ・デ・パウル(ウディネーゼ)など。いずれも強者ではあるが、具体的な動きは全く見られず、あくまでマスコミの噂でしかない。
そして今回、新たにMFピオトル・ジエリンスキが獲得リストに加わった。2016年からセセリエA強豪ナポリでプレーしているポーランド代表MFであり、ナポリ移籍の際にはリバプールが獲得競争を繰り広げた、と伝えられている。約5年間過ごしたクラブを離れ、新たなチャレンジを求めても不思議ではなく、リバプールもかつての獲得候補へと舞い戻る確率も十分に考えうる。
例外に漏れず、新型コロナによるパンデミックで財政面が大打撃を受けるナポリ。収支バランスを改善するためにも、主力の売却に着手するのではないかと言われている。リバプール以外にも、マンチェスター・シティやバルセロナからの関心が報じられるポーランド代表を、多額の移籍金と入れ替えで売却も検討する可能性も否定できない。
代表チームでも56試合に出場し、クラブでも今季36試合8ゴール8アシストを記録している。退団も噂されるジェンナーロ・ガットゥーゾ監督率いるチームにおいて、スタメンの座をがっちりと確保している。自身もコロナ感染に伴い、シーズン序盤の数試合を欠場しているが、それ以外にはすべて出場しており、身体の丈夫さも持ち味。
ワイナルドゥムよりも、攻撃に特徴を持つ選手であり、直接的な代役にはならない。ドリブリングやパスに定評があり、フォワード陣の後ろでプレーすることで、実力を発揮できるタイプ。リバプールに当てはめると、インサイドハーフでのプレーになるため、守備面での貢献度を高める必要があるものの、攻撃時の能力には疑いの余地はない。
問題は同じく攻撃面で強みを持つチアゴ・アルカンタラを昨年に獲得しており、絶賛プレミアリーグで慣れている段階で、来季に期待がかかる。加えて、若手MFカーティス・ジョーンズも順調に成長を続けており、戦力になりつつある。他にも、ナビ・ケイタやアレックス・オックスレイド=チェンバレンら攻撃的なミッドフィルダーが在籍しており、守備的な強みを持つミッドフィルダーに注力すべきだろう。
しかし、曲者アウレリオ・デ・ラウレンティスがオーナーを務めるクラブだけに、交渉は簡単に行かない。そして、ナポリもまだ26歳とキャリアのピークを迎えていない選手の放出には否定的。また、獲得競争が激化となれば、さらなる移籍金の上乗せが必要となり、予想以上に多額の資金が必要になる可能性もある。
よって、ピオトル・ジエリンスキ獲得に動く確率は限りなく低いと思っている。他の獲得候補が、より安価で獲得でき、守備にも貢献できるプレースタイルを有する選手たちであり、ワイナルドゥムの特徴に近い。攻撃面はチアゴやカーティスに任せ、中盤を無尽蔵のスタミナでカバーできるようなプレーヤーに集中し、スカウティングに励んでいるはずである。
今年の夏に、どんな選手が加わるのだろうか?中盤の選手だけでなく、センターバックやフロントスリーのバックアップなど別のポジションも含めて、動向に注目していきたい…