ASローマからリバプールに加入して以降、シュートストップだけではなく、ハイラインを敷く最終ラインの後方に広がるスペースを埋める飛び出し、素早くも正確なロングフィードなど近代的なゴールキーパーの代表格になったブラジル代表GKアリソン・ベッカー。
チャンピオンズリーグやプレミアリーグも制覇し、母国のフル代表ではマンチェスター・シティGKエデルソンと激しいレギュラー争いを繰り広げる31歳の守護神だが、ヤシン・トロフィーの初回受賞者に輝くも、その後はトップ10に入ることすら珍しい。
フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』が創設したGK版バロンドールとも言えるこの賞だが、昨シーズンまでリバプールでGKコーチを務めたジョン・アフテルベルグ氏は、アリソンがトップ10に選ばれていない事実に失礼だと語り、その選出基準に疑問を呈した。
「アリソンはここ数年、本当に世界一だったと私は思う。彼のコーチではない今だから言えるが、外から見ていての意見だ。」
「過去2年間、彼がヤシン・トロフィーに絡んでいないのは、少し失礼なことかもしれない。チャンピオンズリーグだけで行われているのかもしれないが、最初の年(2022/23シーズン)、彼は間違いなくチャンピオンズリーグに出場していたと思うし、トップ10にも入っていなかった。」
「誰がその責任者なのかはわからないが、おそらく彼らはGKについてあまりわかっていないのだろう。彼がトップ5にも入っていないのは本当に無礼だと思うが、それは他の人たちが決めることだ。」
LFC Transfer Room
近年はプレミアリーグでも優勝に絡めず、昨季はチャンピオンズリーグすらも逃した。ブラジル代表もなかなか成績が上がらずに、個人の印象的なパフォーマンスを別として、チームの期待を上回るほどの結果を収められていないのは事実。
ところが、今年の候補者10名を見ても、ジャンルイジ・ドンナルンマやヤン・ゾマー、グレゴール・コベル、マイク・メニャンなどチームとして大きな結果を残したとは言い難い選手が名を連ねており、アリソンが入る入らないを考慮せずとも不明瞭な部分を残す。
個人賞はあくまで人気や政治が動く部分もあり、単純な能力や成績だけでは決まらないのが難しいところ。いずれにしても、アリソン・ベッカーにはふたたびヤシン・トロフィー受賞に輝くほど目覚ましい活躍で、リバプールをタイトルに導いてもらいたい…