マウリシオ・ポチェッティーノ前監督のもとでチャンピオンズリーグ決勝に進んだのが2年前。翌シーズンには成績不振からアルゼンチン人監督が解任され、大きな期待とともにジョゼ・モウリーニョが指揮官の座に就任した。
堅守速攻を軸とするモウリーニョサッカーで、今シーズンは首位に立つほどにプレミアリーグを引っ張る時期もあり、2シーズン目を迎えたポルトガル指揮官の復活に兆しが見えた。絶対エースであるハリー・ケインが得点とアシストに大活躍し、相棒ソン・フンミンがカウンターから得点を量産し、効果的なロングカウンターで勝ち点をもぎ取っていった。
しかし、徐々に限界が見え始める。そもそも攻撃の組み立てをイングランド代表FWに委ねたサッカーには継続性がなく、クリスティアン・エリクセンの後釜も獲得できず、さらには監督への不信感からチーム内の空気も悪くなり、ジョゼ・モウリーニョは解任の憂き目にあった。
ポチェッティーノ・サッカーから後退してしまった印象も強いトッテナム・ホットスパーを再起させるために、ダニエル・レヴィ会長が監督人事に全神経を注いでいる。バイエルン監督就任が発表されたユリアン・ナーゲルスマン(RVライプツィヒ)が本命だったとも報じられ、後任には全世界が注目している。
ケインやソン・フンミンら主力の去就にも影響する人事だけに、クラブも慎重な姿勢を崩していない。転換期にもある同クラブにおいて、『Sky Sports』がビックリするニュースを報じた。攻撃を一手に担うハリー・ケインが退団を望んでおり、クラブに対して退団意思を伝えたようだ。
334試合220ゴールと驚異的な数字を残している同選手は、毎年のようにプレミアリーグ得点王争いに食い込んでおり、イングランド代表でも絶対的な存在として君臨している。今季も22ゴールを奪い、モハメド・サラー(リバプール)と次元の高い競争を繰り広げている。
今年7月には28歳を迎えるトッテナムのエースは、年齢的にもこれ以上待てない。タイトル争いができるチームへの移籍を希望しており、マンチェスター・ユナイテッドとマンチェスター・シティ、チェルシーがすでに代理人に問い合わせを済ましている。
ただし、トッテナムが放出意思はなく、残留を促すために説得するだろう。ますまず重要になってきた次期監督を材料に、エース残留を望む。売却するにしても、2024年まで契約を結ぶ世界的なストライカーを安価で譲るわけもなく、獲得を狙うクラブは大金を費やさなければいけない。交渉に長けているレヴィ会長だけに、さらに厄介なものになり得る。
クラブに愛着を持っており、海外への移籍が既定路線にも思われたが、選手本人は同リーグ内での移籍も前向きだ。多額の移籍金やライバル関係から獲得できるクラブは限定的であり、上記3チーム以外には手が出ないのが現実だろう。
長年チームに貢献したFWセルヒオ・アグエロが退団し、センターフォワードを欲するマンチェスター・シティ。ドイツ代表FWティモ・ヴェルナーがスランプに陥っており、オーナーが不満を抱いていると言われるチェルシー。絶対的なセンターフォワードがいないマンチェスター・ユナイテッド。
どのクラブもゴールスコアラーを獲得するモチベーションを持っており、海外のビッグクラブも含めて、熾烈な獲得レースが展開されるはず…