ACミランやユベントスで、中盤のマエストロとして圧倒的な存在を示した元イタリア代表MFアンドレア・ピルロ。長短のパスで後方から攻撃を作り、守備時にはボールを刈り取ると言うよりも、適切なタイミングで適切なポジション取りができる世界でもトップクラスのミッドフィルダーとして名を馳せた。
現役引退をしてからは監督業に移るも、あまり優秀な成績を収めるに至らず、2024年8月にサンプドリアを去ってからは指導者からは離れている。スティーブン・ジェラードやティエリ・アンリなどトッププレーヤーであろうと、指揮官としての成功は保証されていないことを証明した結果になった。
しかし、選手としての偉業は誰の目にも明らか。キャリアを通じて756試合に出場を果たし、イタリア代表でも116試合でピッチに立ってきた守備的ミッドフィルダーは、選手時代を通して、最高のファイナルだった試合として、2004-05シーズンにおけるリバプールとの激闘を挙げた。
「2007年の再戦は、すべてを少しいい思い出にしてくれたよ。あそこから誰かがリベンジのチャンスを与えてくれたということでもあるし、2005年の決勝戦は、僕らがプレーした中で最も美しいもののひとつだと思うし、おそらく史上最高の決勝戦でもあったからね。」
「私たちはドラマチックな素晴らしい試合をした。再戦では、いくつかのことが我々の味方になった。監督として最初の試合をあのスタジアムで戦い、そして敗れた。」
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イスタンブールでの決勝戦は、当時世界でもトップクラスの実力を持っていたACミランが終始試合を支配。前半だけで3得点を奪い、ビッグイヤーはイタリアに渡ると思われたが、リバプールは後半の6分間だけで3ゴールを挙げ、同点まで追いついた。
カルロ・アンチェロッティ監督率いたチームはその後も決定機を迎えるも決めきれず、PK戦まで突入。 元ポーランド代表GKイェジー・ドゥデクがクネクネした動きで相手を惑わせ、ラファ・ベニテス監督率いたチームにタイトルをもたらした。
この2チームの間のライバル関係はこのままでは終わらない。2007年には同じカードで、チャンピオンズリーグ決勝が行われ、ACミランがリベンジを果たした。とはいえ、シナリオとしてはイスタンブールの軌跡を上回るものではなかった。
あそこまで劇的なファイナルはあまりお目にかかれないが、元イタリア代表MFの記憶の中では、リバプールとの激闘が刻まれ続ける。
