アレクサンデル・イサクは、いまやただのストライカーではない。ヨーロッパの移籍市場を揺るがす、象徴的な存在になるかもしれない。スウェーデン代表FWは、ニューカッスルで通算109試合で62ゴール11アシストと、トップリーグで自身の価値を証明し続けている。
アーセナルも長年その動向を追い続けてきたが、ニューカッスル・ユナイテッドは売却を否定し続けた。しかし、頑な姿勢に風穴を開けたのが、リバプール。新たなセンターフォワードとして、25歳ストライカーを最優先ターゲットに据え、この夏の移籍市場を通してアプローチしてきた。
ただし、リバプールからのアプローチはクラブの気持ちを変えるに至らなかったが、選手の気持ちを変えた。スウェーデン人FWが所属クラブに対して、移籍希望を申し入れたことで、同選手の去就が一気に動き出した。
この好機に飛びついたのが、サウジアラビアの名門アル・ヒラル。イギリス紙『The Guardian』によると、中東のクラブは税金なしの週給60万ポンドという桁違いのオファーを提示したようで、イサクに対して「本気」であることを示した。
ヨーロッパのクラブにとっては、到底太刀打ちできない条件であることは疑いようがない。ファイナンシャル・フェアプレーやPSRなど財政的な障壁のある中、ニューカッスルやチェルシー、マンチェスター・シティら金満クラブでも簡単に提示できる額ではない。
『Spotrac』によると、リバプールFWモハメド・サラーの給与額が週給40万ポンドだが、そこから税金が引かれるため、手取りで60万ポンドとなれば、ほぼ倍額程度の給与提示が必要となる可能性が高く、いかに異質なオファーであるかが見て取れる。
プレシーズン遠征メンバーから外れ、イングランドで移籍の可能性を探る元レアル・ソシエダFWに対しては、リバプールもプレミアリーグで歴代トップとなる移籍金を準備し、ニューカッスルからの引き抜きを画策している。
金銭面だけであれば、サウジアラビア行きが当たり前の選択肢となる。しかし、ファブリツィオ・ロマーノ氏(イタリア人ジャーナリスト)はすでにイサクが中東からのオファーを断り、ヨーロッパでのトップレベルのサッカーを続ける決断を下したと伝えている。
ニューカッスルはスウェーデン代表ストライカーの後任確保に本腰を入れているとも言われる中、アレクサンデル・イサクを巡るはどのような決着を迎えるのか…?
