リバプールのダルウィン・ヌニェスが岐路に立っている。アルネ・スロット監督の構想から外れたウルグアイ代表ストライカーに対し、ACミランとユベントスが本格的な獲得競争を展開している一方で、サウジアラビア勢からの関心も継続している。23歳の若きストライカーは、キャリアの重要な転換点で、金銭面での魅力と欧州最高峰での挑戦という二つの道に直面している。
英『talkSPORT』によれば、ACミランとユベントスらイタリア勢は、オランダ人指揮官の長期計画から外れたヌニェスの獲得に本格的な関心を示している。
2022年夏に8500万ユーロという巨額の移籍金でベンフィカから加入した23歳のストライカーは、現体制下で序列を落とし、プレミアリーグでの先発出場はわずか8試合という厳しい現実に直面している。
先週末のACミランとの親善試合におけるヌニェスの欠場は、どこか退団の匂いを感じさせた。ルイス・ディアスがバイエルン・ミュンヘン入りを果たし、リバプールの攻撃陣再編への憶測は一気に現実味を帯びている。
この状況を受け、今年1月にはサウジアラビアのアル・ナスルが7500万ユーロを超えるオファーを提示していたが、現在は具体的なオファーには至っていない状況だ。それでもヌニェス自身は最高レベルでのキャリア継続を望み、欧州残留を強く希望している。
この夏を通して、ナポリが獲得を狙っていたが、リバプールの要求額に届かず断念。それでも、同じくセリエAからミランとユベントスが参戦した格好。両クラブは、単純な金額勝負ではサウジ勢に敵わないことを理解しており、より戦略的なアプローチでヌニェス獲得に臨んでいる。
イタリア勢がヌニェス獲得において描いている戦略は、サウジアラビアのクラブとは根本的に異なるアプローチを取っている。ACミランは爆発力のあるストライカーを求めており、現在のフォーメーションにおいてヌニェスの持つスピードと決定力は理想的なフィット感を示している。
一方のユベントスは、ドゥシャン・ヴラホヴィッチの去就が不透明な中で、後釜候補としてヌニェスを位置づけている。
特に今年1月の冬の移籍市場では、サウジ・プロ・リーグのアル・ナスルがヌニェスと緊密な交渉を行い、リバプールの承諾さえあれば移籍が成立する寸前まで進んでいた。とはいえ、ナポリ行きにも前向きだったと見られ、イタリアとサウジの間で揺れ動いている。
しかし、イタリア勢が仕掛ける戦略の巧妙さが浮き彫りになる。サウジアラビアを上回る直接的な金銭オファーではなく、ヌニェスのキャリアビジョンに訴えかける総合的なパッケージを提示することで差別化を図っている。
ACミランは、セリエAというヨーロッパ最高峰のリーグでのプレー機会を前面に押し出している。一方のユベントスは、クラブの伝統と威信、そして若い才能を育成する環境の優位性を武器としている。
この戦略の背景には、ヌニェスが純粋にサッカー選手として成長したいという願望があることを両クラブが正確に把握している点がある。アルネ・スロット体制で序列を落としている現状から脱却し、再び世界最高レベルでの競争に身を置きたいという彼の心境を、イタリア勢は的確に読み取っている。
サウジアラビアのクラブが提示する破格の条件は確かに魅力的だが、ヌニェスの年齢を考慮すれば、今後5年間での成長可能性を最大化することこそが真の価値創造につながる。
ACミランは、近年の若手選手育成における成功例を挙げ、ヌニェスがミラノで開花する可能性を具体的にプレゼンテーションしている。特に、ラファエル・レオンやクリスティアン・プリシッチといった攻撃的な選手たちとの連携によって、ヌニェスの持つポテンシャルを最大限に引き出せることを強調している。
ユベントスもまた長期的な視点を提示し、セリエAでの成功がウルグアイ代表での地位向上にもつながることを訴求している。さらに、ユベントスの戦術システムがヌニェスのプレースタイルに最適化されていることを、具体的なデータと映像分析によって証明している。
リバプールが要求する移籍金額という課題は残されているものの、ACミランとユベントスは既に具体的な行動を開始している。両クラブの首脳陣は、この夏の移籍市場における最重要案件としてヌニェス獲得を位置づけ、サウジアラビア勢との交渉を有利に進めるための独自の戦略を展開している。
はたして、アンフィールドの迷えるウルグアイ人ストライカーの去就はどうなるのだろうか…?
