27歳の黄金期を迎えたはずのフェデリコ・キエーザにとって、アンフィールドでの1シーズンは想像とは程遠い現実だった。昨夏にユベントスから1000万ポンドでリバプール移籍を果たしたイタリア代表ウィンガーは、度重なるフィットネス問題に悩まされ、わずか466分間のプレーに留まり、プレミアリーグでの先発出場は1回のみという厳しい数字を突きつけられている。
そんな中、元イタリア代表ウィンガーはより定期的な出場機会を求めてアンフィールドを去る見込み。プレシーズンツアーにも帯同しておらず、彼の意思は固まっている。そして、移籍先としてはセリエA復帰が濃厚だ。
イタリア紙『Calciomercato』によると、現在27歳のキエーザはサウジ・プロリーグやジョゼ・モウリーニョ率いるフェネルバフチェからの関心があるにもかかわらず、元マンチェスター・ユナイテッドの名将からのオファーを拒否し、慣れ親しんだセリエAのクラブを選ぶ意向を示しているようだ。
フェネルバフチェでの再出発という選択肢も決して悪くはない。モウリーニョ監督の下であれば、戦術的な成長と安定した出場機会が期待できるだろうし、トルコリーグでの成功がヨーロッパでの評価回復につながる可能性もある。
しかし、キエーザにとってはやはり、アントニオ・コンテ監督率いるナポリやマッシミリアーノ・アッレグリ監督のACミランといった、過去に縁のある指導者が率いるセリエAクラブでの復活こそが本命に映る。
他にもアタランタやインテル・ミラノらイタリアの強豪クラブがこぞって興味を持っており、セリエAでの実績十分なアタッカーに魅力を感じるチームは多いという状況からも、需要の高さがうかがえる。そして何より重要なのは、インテンシティの低いイタリアサッカーであれば、まだまだ通用する可能性がある。
フィオレンティーナやユベントスではキレッキレのドリブルや得点力で活躍してきただけに、セリエA復帰で成功を収める可能性は決して低くない。プレミアリーグの激しいプレッシングとマークの中では十分に発揮されなかったが、セリエAの戦術的で計算されたサッカーであれば、その特性を存分に活かせるはずだ。
しかし、課題も存在する。2022年の大怪我以降、彼のパフォーマンスには以前のような爆発力が欠けているのも事実だ。27歳という年齢を考慮すると、これからがキャリアの正念場であり、セリエA復帰が成功への最後のチャンスとなる可能性も高い。
リバプール側の状況を見ると、クラブは1500万ユーロの回収を希望しているものの、夏の移籍期間終了までに売却を急ぐ場合はより低い金額も受け入れる可能性がある。
モハメド・サラーがアフリカネイションズカップで不在となる期間を考慮すると、リバプールとしてはキエーザをもう1シーズン残すことを好ましいと考えているが、彼の心がセリエA復帰に決まっているのなら、マージーサイドでの定期的な出場機会が少ない以上、クラブが彼の邪魔をするのは難しい状況に陥っている。
はたして、セリエA勢が熱視線を送るキエーザは、予想通り母国復帰するのか、もしくは別のリーグでの新たなチャレンジに歩みを進めるのか…？