フェデリコ・キエーザ。かつてはイタリア代表エースにまで上り詰めた27歳のウインガーが、今まさにキャリアの岐路に立っている。ユーロ2020の栄光を背にプレミアリーグに渡った男は、たった1年で買い手のつかない高額年俸選手という烙印を押されてしまった。
それでも、彼はふたたび輝くことを諦めてはいない。望むのはただ一つ、イタリアへの帰還。そしてその地で、ふたたび自らの能力を証明することだ。
その昔、市場価値は7000万ユーロを超え、イタリア国内では間違いなくトップクラスの評価を受けていた元ユベントスFWフェデリコ・キエーザ。しかしその後、相次ぐ負傷とフォームの低下が彼のキャリアに影を落とした。
トリノではチアゴ・モッタ監督の就任に伴い戦力外扱いされると、昨年の夏に出場機会を求めてリバプールに加入。ところが在籍期間中にプレミアリーグで出場したのはわずか6試合、合計プレー時間は104分のみ。全ての大会を通じても、466分間のプレーとその苦悩を物語っている。
いまや評価額は7000万ユーロから1000万ユーロ規模にまで落ち込み、クラブにとっては高く売れない高額選手というジレンマの象徴となっている。リバプールにとってはもともと高額な移籍金を支払ったわけではないが、昨夏よりも低い金額での売却を余儀なくされるかもしれない。
さらにイングランドで受け取っている700万ユーロの年俸が、彼の移籍における最大の障壁となる。イタリアのクラブにとってこの金額は、財政的に許容しがたい。
ナポリは一時、900万ユーロの買い取りオプションを付けたレンタル移籍の可能性を模索したが、リバプール側に給与の一部負担を求めたことで交渉は頓挫。また、アタランタも関心を寄せているが、彼を獲得するには大幅な給与カットが必須とされている。
それでも、彼のイタリア復帰を巡る動きは静かに進行している。ACミラン、ローマといったビッグクラブも、今なお彼のポテンシャルを高く評価し、動向を追っている。キエーザ自身もこの流れを熱望している。トルコのフェネルバフチェから届いたオファーを断りを入れたとも言われる。
かつてユーロ王者となり、世界を魅了したフェデリコ・キエーザ。その名が再びサン・シーロやスタディオ・オリンピコに響き渡る日は来るのか。イタリア国内で復活を望むクラブは少なくないが、リバプールの要求額や本人の給与など問題は山積している…