今夏の移籍市場で、リバプールは歴史的な補強で欧州中の視線を集めた。アルネ・スロット監督の下、クラブはウーゴ・エキティケ、フロリアン・ヴィルツ、アレクサンデル・イサク、ジェレミー・フリンポン、ミロシュ・ケルケズ、ジョヴァンニ・レオーニら計8名を獲得。プレミアリーグ王者として迎えた新シーズンに向け、戦力の層をさらに厚くした。
中でも、バイエル・レバークーゼンから加入した22歳のドイツ代表MFヴィルツは、後にイサクに更新されたが、クラブ史上最高額の契約として特別な存在感を放った。移籍金は1億ポンドに加えて、最大1600万ポンドのアドオンが設定されている。
イギリス紙『The Times』ポール・ジョイス記者はこの契約内容に触れ、アドオンが支払われる条件を公表。その条件は極めて厳しく、ヴィルツがリバプール在籍中に、プレミアリーグまたはチャンピオンズリーグで4度の優勝を果たす必要があるようだ。
オランダ人指揮官は初年度からプレミアリーグを制覇。出来ない話ではないものの、実力だけではなく運も必要となる世界だけに、決して楽な達成条件でははない。とはいえ、それ以上に栄冠を獲得する可能性もゼロではない。
さらに、リチャード・ヒューズSDは、1億ポンドを5回の分割払いにする交渉にも成功。財務負担を分散させつつ、即戦力の確保と長期的な資金計画を両立させた。クラブの未来像を具体的に描いた戦略的投資を実行に移している。
ヴィルツはレバークーゼンでの最後のシーズンには45試合をこなし、16ゴール15アシストを記録。まだまだプレミアリーグに慣れる時間ではあるものの、ブンデスリーガで見せた狭いスペースでのターン、縦への推進力、そしてゴール前での冷静なラストパスは、リバプールの攻撃に新たな創造性に期待が集まる。
レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティといった欧州の強豪が名を連ねた争奪戦の末、最終的に彼が選んだのはアンフィールド。イングランドでの船出は順調とは言い難いが、評価を下すには早すぎる。
アレクサンデル・イサクやエキティケ、モハメド・サラー、コーディ・ガクポらとの連携は日に日に高まるはずで、イングランド独特なインテンシティの高さに順応するのも時間の問題と言って過言ではない。
高額な移籍金に加えて、達成が難しいアドオン条件とパフォーマンス以外の観点からも注目される22歳の天才だが、アンフィールドでどのようなプレーぶりを披露してくれるのだろうか…?
