プレミアリーグで最も“止めづらい男”に、リバプールが照準を定めた。ボーンマス所属のガーナ代表FWアントワーヌ・セメニョは、今季リーグ戦7試合で6ゴール3アシストと圧巻のスタートを切っている。
英『Football Insider』によると、複数クラブが関心を寄せる中、リバプールが獲得レースの先頭に立っていると報じられている。
背景には、リバプールでスポーツディレクターを務める、リチャード・ヒューズの存在がある。かつてボーンマスでスカウト部門を統括していたヒューズは、セメニョをブリストル・シティから引き抜いた張本人。その人脈と信頼関係が、交渉を有利に進める武器となっている。
ボーンマスは2025年7月にセメニョとの契約を延長し、2030年までの長期契約を締結。クラブとしては放出の意思はないものの、7500万〜8000万ポンドのオファーには応じる可能性があるとされる。
セメニョは典型的なスピードスターではないが、縦への推進力とフィジカルを活かした“個の打開力”が最大の武器。相手DFとの1対1を恐れず、スペースがあれば一気に加速してゴール前まで持ち込む。アンドニ・イラオラ監督のトランジション重視のスタイルの中核を担っている。
一方、リバプールはアルネ・スロット監督のもとで4-2-3-1システムを導入。フロリアン・ヴィルツ、アレクサンデル・イサク、ウーゴ・エキティケらを軸に攻撃陣を再構築しているが、セメニョのような縦に刺せる選手はまだ不足している。
守備面でもセメニョは前線からのプレスに積極的で、スロットが求める攻守一体型のアタッカー像に合致。戦術的なフィット感は極めて高い。
モハメド・サラーの将来的な退団が現実味を帯びる中、リバプールは次世代の象徴を探している。セメニョはその候補として、実力だけでなく文化的な側面でも注目されている。フィジカルとスピード、決定力とプレミアリーグを代表するアタッカーに成長しており、トップチームへの移籍も近い。
アフリカ系選手としてのアイデンティティ、そしてピッチ上でのリーダーシップは、サラーやマネが築いてきた“アフリカン・レガシー”を継承するにふさわしい。25歳という年齢でプレミアリーグ経験も豊富。若手中心の補強を進めるリバプールにとって、即戦力でありながら将来的な成長も期待できる“ハイブリッド型”の補強となる。
エジプシャン・キングのコンディションが上がりきらない現状において、リバプールには右ウィンガーのオプションが不足している。バイエルン・ミュンヘンのフランス代表マイケル・オリーセ獲得にも熱視線を送っているが、守備にも献身的な攻撃的プレーヤーは貴重な存在になり得る。
はたして、リバプールがボーンマスから2年連続で選手を補強することはあるのだろうか…？