プレミアリーグ王者リバプールが、新たな獲物に照準を定めた。ボーンマスで爆発的な得点力を発揮するアントワーヌ・セメニョに対し、レッズが本格的な関心を寄せている。イギリス紙『The i Paper』の報道によれば、リバプールは早ければ1月の移籍市場でセメニョ獲得に動く可能性を検討しているようだ。
背景にあるのは、モハメド・サラーの想定外の低迷。昨季まで圧倒的な数字を残してきたエジプトの英雄は、今季8試合でわずか2得点2アシストに沈んでおり、明らかに全体的なパフォーマンスも低下しており、アルネ・スロット監督に新たな選択肢を求めさせている。
セメニョは今季9試合で6得点3アシストという驚異的なパフォーマンスを披露しており、アンドニ・イラオラ監督率いるボーンマスの快進撃を牽引する存在になっている。25歳のガーナ代表ウイングは、マンチェスター・ユナイテッドとトッテナムからも関心を集めたものの、当時の交渉は不成立に終わった。
その後、チェリーズと5年契約を結んだセメニョは、2030年までの契約を残す。ただし、新契約にはリリース条項が盛り込まれていることが判明しており、これがリバプールにとって交渉の突破口となる可能性を秘めている。
サラーの凋落は、リバプールにとって看過できない問題となりつつある。昨季2024-25シーズン、33歳を迎えたエジプト人アタッカーは25得点16アシストという歴史的な活躍でチームをプレミアリーグ制覇へ導いた。しかし今季は様相が一変。サラーの不調は計算外の誤算と言える。
対照的に、セメニョの株は急上昇を続けている。これまでもリバプールだけではなく、強豪クラブへのステップアップが噂されてきたが、最終ラインのほとんどを引き抜かれたボーンマスに残留することを決断。
リバプールは今夏、アレクサンデル・イサクとウーゴ・エキティケに合計2億400万ポンドを投じてセンターフォワード補強を優先したが、セメニョへの関心が消えたわけではない。むしろ、彼の今季の活躍が新たな決断を促している。
万能性も高いセメニョは、右サイドからカットインしてゴールを狙う動きはサラーを想起させるが、恵まれたフィジカルから繰り出されるパワフルなドリブルは独自の武器と言って過言ではない。
特に、30歳を超えてスタミナ低下を防ぐためにも守備に奔走することを免除されたエジプシャン・キングとは異なり、ディフェンスにも全力を注げるだけに、チーム全体のバランスが整う可能性は高い。
加えて、リバプールとボーンマスの間には、交渉を円滑に進める人脈が存在。リバプールのスポーツディレクター、リチャード・ヒューズは2024年3月までボーンマスで同様の役職に就いていた人物で、両クラブの良好な関係は継続している。
この夏の移籍マーケットにおいて、大型補強を敢行したリバプールだけに、さらに大金を投じるかは未知数。フェデリコ・キエーザの調子は良さそうだが、オランダ人指揮官の信頼を勝ち得ているとは言い難く、本格的な後継者探しがスタートしている。
はたして、リバプールは7500万ポンドを支払い、ボーンマスからガーナ代表のアタッカーを獲得するのだろうか…?
