リバプールがアスレティック・ビルバオの快足ウインガー、ニコ・ウィリアムズ獲得に再び動き出した。スペイン代表の23歳は、今夏にアーセナルやバルセロナからの強い関心を受けながらも残留を選び、6月末には2035年までの長期契約を締結したばかり。
それでもスペイン紙『Fichajes』の報道によれば、リバプールは7500万ユーロ規模のオファーを準備しており、契約に含まれる9000万ユーロ前後の解除条項に迫る金額で交渉を進める構えを見せているようだ。
アルネ・スロット監督の下で新たな時代に向けた歩みを進めるリバプールにとって、ウィリアムズは補強候補の一人という枠を超え、攻撃の再設計を担う核として位置づけられているそう。
ルイス・ディアス退団後、左サイドにおける純粋なドリブラーを欠いたチームは、攻撃の幅を失い、中央に偏る傾向を強めてきた。コーディ・ガクポは献身的な動きを見せるが、縦への推進力や一対一の突破力では物足りない。
だからこそ、爆発的なスピードと予測不能な仕掛けを持つウィリアムズは、攻撃の景色を根本から塗り替える存在として期待されている。
ウィリアムズの最大の特徴は、縦への推進力と一対一の強さ。昨季公式戦45試合で11得点7アシストを記録し、ドリブル成功数でも上位に位置。右サイドからのカットイン、左サイドでの縦突破、どちらも高い水準でこなす柔軟性を持つ。さらに、守備面でもハードワークを惜しまない姿勢を見せ、プレミアリーグ特有の強度に適応できる下地を備えている。
リバプールの攻撃陣に目を向けると、モハメド・サラーが右サイドで絶対的な存在感を放ち、新加入のアレクサンデル・イサクやウーゴ・エキティケがセンターフォワードとしてプレー。左ウイングには17歳FWリオ・ングモハが控えるものの、まだまだ経験不足は否めない。
イタリア代表復帰を狙うフェデリコ・キエーザの動きも良さそうだが、オランダ人指揮官はあまりスタメンで起用するつもりはなさそうで、ガクポへ全幅の信頼を寄せているため、ライバルになれる存在として23歳のスペイン代表ウィンガーは理想的な人材になり得る。
ただ、ングモハの成長を妨げる嫌いもあるため、そもそも左ウィンガーにどこまで力を入れるかは未知数。また、モハメド・サラーの調子が上がらない中、年齢も相まって右ウィンガーの補強における優先度も高く、そちらを優先する可能性はある。
とはいえ、交渉は容易ではない。アスレティックは生え抜きのスターを手放す意思が薄く、契約延長によって立場を強化している。クラブにとってウィリアムズは象徴的存在であり、バスクの地元ファンにとっても誇りそのものだ。リバプールが提示する7500万ユーロは巨額だが、解除条項に迫る金額を用意しなければクラブを動かすのは難しい。
さらに、ウィリアムズ自身も今夏に残留を選んだ経緯がある。彼はサン・マメスでの成長を重視し、クラブへの忠誠心を示した。しかし、プレミアリーグという舞台の魅力、そしてリバプールという世界的クラブの存在感は、選手としての野心を刺激する可能性がある。特に、UEFAチャンピオンズリーグでの戦いを望むなら、リバプール移籍は大きな飛躍となる。
これまでも何度も噂に上がってきたが、具体的な話には発展しなかったニコ・ウィリアムズ獲得を巡る動きだが、今回こそは本格化するのだろうか…?
