移籍市場における力学は、一つの強豪クラブの判断で劇的に変化する。イブラヒマ・コナテを巡る争奪戦がまさにそれだ。レアル・マドリードはリバプールに対して直接的かつ明確に、フランス代表DFの獲得に興味がないと伝達。この決定を受けて、新たな強豪クラブが急速に動き出している。インテル・ミラノである。
2026年夏に契約が満了するコナテは、長きにわたってレアルの最優先ターゲットとされてきた。スペインメディア『Marca』は移籍がほぼ決定事項であるかのように報じていた。だが海外メディア『The Athletic』のデイヴィッド・オーンスタイン記者がレアルのコナテ争奪戦からの撤退を報じた。
この急転換には理由がある。今シーズンのコナテのパフォーマンスは、昨季と比較して明らかに水準を下回っている。プレミアリーグ全12試合に先発しながら、チームの不調とともに批判の対象になっている。
特に11月のPSV戦では致命的なミスを犯し、わずか55分で交代を余儀なくされた。コナテが出場した試合でリヴァプールは17失点を喫しており、平均すると58分に1失点という脆弱さを露呈。スペインのクラブはマルク・グエイやダヨ・ウパメカノといった他の選手に優先順位を移しているそうだ。
レアルの撤退は、リバプールにとって契約交渉の好材料となった。リバプールは新たなオファーを提示しており、クラブ側と選手との話し合いは継続中。しかしこれは同時に、フリートランスファーでの獲得を得意とする他クラブにとって絶好の機会でもある。
イタリアメディア『Inter Live』によると、インテル・ミラノがコナテ獲得に本格的な検討を開始したようだ。レアルの存在が心理的な障壁となって静観していた可能性が高い。だが最大のライバルが撤退した今、インテルは動き出せる環境が整った。
インテルは当初ウパメカノに関心を示していたが、バイエルン・ミュンヘンのフランス人DFの給与要求が高すぎるため、コナテへと標的を変更する可能性がある。移籍金ゼロという条件を最大限に活用すれば、インテルはリバプールが提示する以上の報酬パッケージを用意できる。
フランチェスコ・アチェルビとステファン・デ・フライという30代のベテランCBに依存する現状を打破するため、26歳の実力者は理想的な補強候補だ。インテルが来夏のフリー移籍を視野に入れつつ、1月の移籍市場での割安な獲得も排除していないとも報じられている。
リバプールは2023年以来、コナテとの契約延長を試みてきた。フィルジル・ファンダイクやモハメド・サラーとの契約延長に成功し、4億5000万ポンド近くを新規補強に投じた今、コナテの契約問題は最優先事項となっている。
報酬面での隔たりは依然として大きい。コナテの現在の週給は報道されている7万から8万ポンドよりもはるかに高く、実際には15万ポンド以上だとも。さらにコナテ側の要求は週給20万ポンドと報じるメディアもあり、クラブ内でトップクラスの給与水準に相当する。
今シーズンのパフォーマンスからすれば、決して許容できる給与レンジではない。また、キャプテンシーや統率力のあるファンダイクなどと違い、チームをまとめ上げるタイプの選手ではないため、どこまでの給与を支払うかクラブは重要な判断が迫っている。
今回の展開は、契約管理の巧拙がクラブの命運を左右する現代サッカーの厳しさを改めて浮き彫りにした。リバプールはトレント・アレクサンダー=アーノルドをレアルに奪われたばかり。今度はコナテで同じ失敗を繰り返すのか。それとも契約延長に成功し、守備の核を維持できるのか。
いずれにせよ、スペイン行きに前向きだったとも言われるフランス代表センターバックだけに、彼らが撤退した今、アンフィールド残留に気持ちが傾き、給与の要求も少し柔軟にする可能性があるかもしれない…
