リバプールがプレミアリーグ王者として迎えた2025/26シーズンは、予想外の苦境に見舞われている。開幕から14試合で21失点という脆弱な守備は、昨季のタイトル獲得時とは別のチームを見ているかのようだ。
アルネ・スロット監督は守備の立て直しに頭を悩ませ、解決策としてふたたびマルク・グエイの名前が浮上。イギリスメディア『TEAMtalk』が伝えるところによれば、リバプールは今週、グエイの代理人との直接交渉を再開し、1月の移籍市場で2500万ポンドから3000万ポンドのオファーを準備しているようだ。
この夏の移籍市場で3500万ポンドの合意に達しながら土壇場で破談となった悪夢に襲われたリバプールだが、25歳のイングランド代表センターバックを諦めていない。クリスタル・パレスとの契約が2026年6月に切れるグエイは、新契約への署名を拒否し、フリーエージェントとしての退団を明言している。リバプールにとって、今冬は最後のチャンスである。
昨季のリバプールは守備の堅牢さで王座を手にした。プレミアリーグ全体で2番目に少ない失点数を記録た。ところが今季は一転、相手に与えるチャンスの質が急激に悪化している。特に深刻なのはセットプレーへの対応。昨季はわずか9失点だったセットプレーから、今季は既に7失点を喫している。
リバプールの守備ラインは相手の攻撃を自陣深くで受けることを余儀なくされており、カウンターアタックへの対応も昨季の4位から今季は17位へと急落。こうした守備の混乱には、複数の要因が絡んでいる。
まず、今夏の大規模補強で加入したフロリアン・ヴィルツ、ミロス・ケルケズ、ジェレミー・フリンポン、アレクサンデル・イサク、ウーゴ・エキティケといった新戦力の適応に時間がかかっている。チーム全体のバランスが攻守両面で崩れている印象は誰の目にも明らかだ。
さらにリバプールが抱える最大の難題は、イブラヒマ・コナテの契約問題である。2026年6月に契約が切れるコナテは、来年1月から海外クラブと自由に交渉できる立場にある。リバプールは契約延長を望んでいるが、交渉は停滞したままだ。レアル・マドリードが関心を失ったという報道は一時的な安堵材料かもしれないが、根本的な問題は解決していない。
34歳のフィルジル・ファンダイクは依然としてチームの柱だが、加齢による衰えは隠せない。パルマから獲得した若手CBジョヴァンニ・レオーニは、膝の重傷で長期離脱を余儀なくされた。将来を見据えたバックラインのバランスを整えることが最優先課題となっている。
グエイはまさにこの穴を埋める理想的な存在である。25歳という年齢はピークを迎えつつあり、プレミアリーグでの豊富な経験を持つ。左サイドでのプレーに長けており、ファン・ダイクとの組み合わせも機能するはず。クリスタル・パレスで主将を務め、今季FAカップと FA コミュニティシールドの2つのタイトルを獲得した実績も申し分ない。
しかし、グエイを1月に獲得することは容易ではない。最大の障壁は、グエイ本人が冬の移籍に応じるインセンティブの欠如である。海外メディア『The Athletic』が指摘するように、グエイが今冬にパレスを離れることに何のメリットがあるのか。半年待てば、フリーエージェントとしてより有利な条件で交渉できる立場に立てる。
クリスタル・パレス側も複雑な心境である。オリバー・グラスナー監督は、適切な代替選手がいない限りゲイを手放すべきではないと繰り返し主張してきた。スティーブ・パリッシュ会長は11月、冬の市場で売却する可能性を認めたが、それはパレスの今季の戦いを犠牲にする覚悟が必要である。
来年1月1日以降、グエイは海外クラブと自由に交渉できるようになる。プレミアリーグのクラブは夏まで公式なアプローチができないため、バルセロナやレアル・マドリードがプレ契約を結んでしまえば、リバプールは別のディフェンダーに視線を移さなければならない。
長年の功労者であるファンダイクの後継者として、またコナテ流出に備えた完璧な補強として、パレスのイングランド代表DFはどのようなキャリアを歩むことになるのだろうか…?
