冬の冷たい風が吹き抜けるマージーサイドに、突如として熱を帯びた衝撃波が走り抜けた。リバプールの右サイドに君臨し続けるモハメド・サラーの周辺で今、フットボール界の経済圏を根底から揺るがす地殻変動が起きている。
サウジアラビアの強豪アル・ナスルが、クリスティアーノ・ロナウドの正当なる後継者として迎え入れるべく、エジプシャン・キングに天文学的な数字を叩きつけた。2027年6月までリバプールとの契約を残すサラーに対し、週給120万ポンドという現給与の3倍という破格の待遇を用意していると、英『The Mirror』が報じた。
アル・ナスルがこれほどの執念を見せる背景には、サウジ・プロリーグの顔として君臨してきたポルトガル代表ストライカーの黄昏があり、選手とクラブの間には隠しきれない不協和音が漂う。公式戦の欠場が続いている。
リーグ当局が “リーグより偉大な選手はいない” と異例の声明を出すまでに至った現実は、一つの時代の終焉を突きつけている。41歳となった大ベテランに代わる新たなエースとしてサラーを選んだのは、イスラム圏最高の英雄を迎え入れるという国家プロジェクトそのもの。
リバプールで年間2400万ユーロを稼ぎ出すサラーにとっても、33歳という年齢で提示された年俸1億8000万ユーロの招待状は、無視できるわけもない。アンフィールドで積み上げた250を超えるゴール、そして数多のタイトル。その輝かしい実績を背負った王が、砂漠の地で新たな王朝を築くのか。その決断の時は、刻一刻と迫っている。
アルネ・スロット監督が率いるリバプールにおいて、フロリアン・ヴィルツやアレクサンデル・イサクといった新戦力が加わったものの、右ウイングではサラーの存在が欠かせない。全盛期ほどのスピードや強靭さ、シュートの精度こそなくなったが、ファイナルサードでのパスセンスはピカイチ。
とはいえ、サラーの後継者問題は今年の夏には解決しなければならない課題で、もしも新たなウィンガーが加われば、エジプシャン・キングの出番は大幅に減るかもしれない。今シーズンも出場機会の減少をキッカケとして、スロット監督と対立しており、ベンチに座るつもりは毛頭ない。
現行契約は2027年6月までで、移籍金が伴う売却はこの夏が最後のチャンス。サウジアラビアからある程度のオファーが届けば、ユルゲン・クロップ政権でのエースがついにアンフィールドを離れるかもしれない…
