サッカーの戦術進化が加速し、センターバックに求められる役割が守備の枠を大きく超えるようになった現代において、ひとりのディフェンダーの価値が1億ユーロに達することはもはや驚きではない。
最後方からのビルドアップ能力と広大なスペースをカバーする機動力、そして局面を打開する縦パスの精度。これら全てを兼ね備えた逸材を確保することは、欧州の頂点を目指すメガクラブにとって最優先事項となっている。
アンフィールドの地で数々の栄光を支えてきた守備陣は、いま大きな転換期を迎えている。長年ディフェンスラインの柱として君臨してきたフィルジル・ファンダイクの年齢を考慮すれば、次なる時代を担うリーダーの確保は急務となっている。
アルネ・スロット監督のもとで洗練されたポゼッションサッカーを展開しているが、その戦術をより高い次元で完成させるためには、個の能力で局面を制圧できるセンターバックの存在が不可欠である。
加えて、イブラヒマ・コナテの契約問題に、ジョー・ゴメスの退団可能性と不確実な要素が迫っているリバプールは、20歳DFジェレミー・ジャケに続き新たなディフェンダーを探し求めている。
ドイツメディア『Fussballdaten』によると、リバプールを含む欧州の4つのメガクラブがバイエル・レバークーゼン所属の27歳DFエドモン・タプソバに対して強い関心を寄せているようだ。具体的なクラブ名としては、リバプールのほかにパリ・サンジェルマン、レアル・マドリード、マンチェスター・ユナイテッドといった名前が並んでいる。
タプソバはレバークーゼンにとって守備の要であり、代えのきかない存在であることは間違いない。しかし、クラブ経営陣は適切な条件が提示された場合には、移籍を容認する構えを見せているという。
注目すべきはその契約条件。バイエル・レバークーゼンの契約は2028年6月30日まで残されているが、契約内には1億ユーロに近い金額の契約解除条項が設定されていると報じられている。また、現在の年俸は500万ユーロと推定されており、移籍が実現すればこの条件も大幅に跳ね上がることが予想される。
身長190センチを超える恵まれた体格を持ちながら、足元の技術はミッドフィルダーに匹敵するほど正確。ビルドアップにおいて、彼は実質的な司令塔としての役割を担っている。相手フォワードのプレッシャーを冷静にいなし、中盤の狭いエリアに鋭い縦パスを差し込む能力は、ブンデスリーガでもトップクラスの数値を記録。
また、対人守備においてもそのリーチの長さを活かしたタックルと、抜群のスピードによるカバーリングでピンチを未然に防ぐ場面が目立つ。戦術的な柔軟性も魅力的で、3バックの左右どちらでも、あるいは4バックのセンターでも高いパフォーマンスを維持できる。
とはいえ、1億ユーロもの移籍金はプレミアリーグのクラブにとっても安いものではない。まして、これまでトップクラブでのプレー経験がなく未知数な点は不安要素となる。プレミアリーグという世界トップレベルのリーグで通用するか慎重な判断が求められる。
加えて、19歳のジョヴァンニ・レオーニ、20歳のジャケと一気に若返りを図っているリバプールにおいて、27歳の選手を迎え入れるのかは懐疑的。移籍金がかからないならまだしも、高額な投資額を回収できる見込みは薄い。
スロット監督率いるチームがブルキナファソ代表DFに本腰を入れる可能性は限りなく低いが、もしも必要な費用が契約解除条項を圧倒的に下回った場合には可能性も出てくるかもしれない…
