リバプールの今後を考えるうえで、中盤の設計がふたたび大きな論点になっている。カーティス・・ジョーンズが起用方法に不満を持っていると報じられて久しい中、ドミニク・ソボスライやアレクシス・マック・アリスターにはレアル・マドリードの影が付き纏う。
世界的なミッドフィルダー陣を擁するリバプールだが、日本代表MF遠藤航の去就も不透明な中、来シーズンに向けた中盤補強も課題のひとつとなっており、試合の流れを引き締め、強度を落とさずに前線と最終ラインをつなげられる選手をどう確保するかが議論に挙がっている。
イギリスメディア『The Daily Mail』によれば、リバプールの候補者リストに、ボーンマスに所属するアメリカ代表MFタイラー・アダムスの名前が浮上しているようだ。なお、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシーも同選手の動向を追っているという。
ボーンマスはアメリカ代表MFに対しておよそ4000万ポンド規模のオファーを検討対象に入れる可能性があるとも伝えている。アダムスは2023年8月に加入し、現行契約は2028年まで残っているだけに、売却を急ぐ立場にはない。
アダムスの持ち味は、派手な数字を積み上げるタイプではなくても、中盤の空気を変えられるところにある。守備局面では相手の前進ルートを読む力があり、球際でも逃げない。単独で広範囲を覆うというより、周囲との距離感を整えながらボール保持者に圧力をかけ、次の回収役を呼び込む守り方に長ける。
ボールを奪った後も無理に難しい縦パスを狙わず、テンポを整えながら前進の土台を築けるため、攻守の切り替えが速いチームでは価値が出やすい。
一方で、リバプールに完全な上積みをもたらすかとなると、見極めは簡単ではない。現陣容にはボールを前に運べる選手、前線へ刺せる選手、広い範囲をカバーできる選手がすでにそろっており、アダムスに求められるのは守備の強度だけでは済まない。
アンカー起用ならビルドアップの安定感、インサイド起用なら狭い局面での前向きな配球が必要になる。試合の流れを壊さない堅実さを持つ半面、リバプールが押し込む展開で違いを生むかという論点は残る。
それでも名前が挙がる背景には、編成上の狙いが透けて見える。リバプールは近年、技術と推進力を備えた中盤を整えてきたが、過密日程や競争の激しいタイトル争いでは、相手の勢いを止める役割の重要性が増す。
アダムスは先発固定型の補強というより、試合の温度を変える選択肢としての期待がある。とりわけ、リード時に中盤の強度を高めたい場面や、ハイテンポなプレミアリーグの肉弾戦に対応したい試合では使い道が見えてくる。
ただし、懸念もはっきりしている。まず4000万ポンドという金額が、役割を限定しうる選手への投資として妥当かどうかである。さらに、アダムスは強度の高いプレーを身上とするぶん、継続的な稼働という面では慎重な判断が欠かせない。
今回の報道をそのまま本命候補と受け取る必要はないが、リバプールがどういう中盤像を求めているのかを考える材料にはなる。技巧派や万能型に視線が集まりやすい市場で、あえて守備の圧力と戦術規律に重きを置くのであれば、アダムスの名前が出てくるのは不自然ではない。
とはいえ、控え選手に4000万ポンドを投じるとは思えず、たとえチャンスがあったとしても見送る方針になるだろう。今のリバプールに必要なのは、遠藤のようにボールの行方を読み力があり、球際も恐れない若手ミッドフィルダーで、27歳のアダムスがどこまでその条件に当てはまるかは未知数なままだ…
