2015年にマンチェスター・シティからフリー移籍でリバプールに加入したジェームズ・ミルナー。ニューカッスルやアストン・ビラでは攻撃的な役割を担い、ウインガーでのプレーが多かったが、リバプールでは中盤やサイドバックと守備にもカバーエリアを拡大していった。
イングランド代表でも61試合に出場経験を持つ同選手は、副キャプテンの役割を担い、チャンピオンズリーグやプレミアリーグ制覇を成し遂げたチームをプレー面だけでなく、精神面でも支えた。今季もトレント・アレクサンダー=アーノルドが欠場していた期間に、右サイドバックを担当しており、万能性の高さを証明し続けている。
そんな元イングランド代表の原点は、リーズにある。リーズに生まれ、リーズ・ユナイテッドを心底愛する親の元で育った。リーズ・アカデミーで成長を遂げたミルナーは、2002年にトップチームデビューを果たすと、その1ヶ月後には当時のプレミアリーグ最年少得点記録を更新。
リーズ・ユナイテッド中心の青春時代を過ごしたミッドフィルダーだが、上位を争う相手でもあったリバプールやマンチェスター・ユナイテッドへのライバル心を剥き出しにする父親から、ファッションについて厳しく制限をかけられていたと、2018年に『The Times』で吐露していた。
「“リーズファン”として育ったから、赤いT-シャツを着ることすら、親父は絶対に許さなかった。マジで。『赤なんて着れない。俺たちはリーズだからな』とね。」
「リバプールと契約したときは、実際に赤を着ていて不思議な気分だったよ。」
「父からは『お前が赤い服を着ているのを初めて見た!』と、からかわれた。」
「今でもリーズを応援しているし、頑張ってほしいと思っている。マンチェスター・ユナイテッドに対してのライバル心も、昔から変わらずに持っている。」
1990年代から2000年の始めまで、ハリー・キューエルやリオ・ファーディナンドら期待の若手を抱えながら、ロビー・ファウラーら同国リーグのトッププレーヤーを獲得するなど黄金期を謳歌。ミルナーの幼少期に、愛するクラブはまさに絶頂を極めていた。
しかし、多額の負債を抱えて破産申請を行ったクラブは、2007年にプレミアリーグから降格。再建に努めた同クラブだったが、すぐには改善せず。何度かにわたりオーナーが入れ替わりつつ、徐々に成績を上げてきたリーズ・ユナイテッドは、昨シーズンには待望のプレミアリーグ復活を成し遂げた。
初年度こそマルセロ・ビエルサ監督のサッカーで、旋風を巻き起こしたチームは、2年目のジンクスに苦しんでいる。ここまでは9試合でたった1勝と成績は振るわない。
大型補強したライバル相手に引けを取らない戦いを披露しているリバプールで、ミッドフィルダーに負傷者が続出している影響もあり、多くの試合に出場し勝利に貢献している元イングランド代表MF。子供の頃から応援するクラブの不調には心を痛めているかもしれない…