2020年7月24日…リバプールサポーターにとっては待ちに待った朗報が飛び込んできた。キャプテンを務めるジョーダン・ヘンダーソンがイングランド・サッカー記者協会(FWA : Football Writers’ Association)が毎年選出している年間最優秀選手賞を手にした。
FWA年間最優秀選手賞はイングランド最も古い個人賞であり、1948年から毎年実施。チームパフォーマンスへの影響と個人パフォーマンスの両軸から判断され、ジャーナリストの投票によって最優秀選手が決まる。
今シーズンも高いキャプテンシーでチームを引っ張り、昨年からチャンピオンズリーグ優勝を皮切りに、クラブはタイトルを次々に獲得。プレミアリーグでも圧倒的な勝負強さを武器に連戦連勝。ワトフォードに敗戦するまで無敗を続けた。
パンデミックの影響を受け、リーグは一時中断。再開後もスタジアムには関係者のみ入場を許され、無観客での試合を余儀なくされる。再開初戦のエバートンは低調なパフォーマンスに終始したが、続くクリスタルパレス戦では4得点を奪い勝利。優勝決定が次節のマンチェスター・シティ(マンC)との直接対決に持ち込まれると思われたが、その間に行われた試合でマンCはチェルシーに敗戦。リバプールが30年ぶりにイングランド王者へと返り咲いた。
世界的な選手を数多く有するリバプールにおいて、ヘンダーソンの影響力は絶大だ。中盤のエンジンでありながら、チームを引き締める統率力。彼がいるかいないで、チーム全体の熱量が決まると言っても過言ではない。まさにクロップが渇望するヘビメタサッカーの体現者であり、最後まで諦めないチームの象徴である。
今年はケビン・デ・ブライネ(マンC)が2位、マーカス・ラッシュフォード(マンU)が3位に付けた。リバプールからはアリソンやフィルジル・ファンダイク、トレント・アレクサンダー=アーノルド、サディオ・マネらが票を獲得して模様。
ヘンダーソンの受賞コメント
イングランド・サッカー記者協会はウェブサイトにヘンダーソンの受賞コメントを投稿。個人の頑張りよりも、周囲への感謝や支えを強調し、個人賞受賞の喜びを伝えた。
「まず投票してくださった方々やイングランド・サッカー記者協会に感謝いたします。過去の受賞者を振り返ると、幸運にも一緒にプレーできたスティーブン・ジェラードやルイス・スアレス、モハメド・サラー含め、みんな一流選手であると改めて理解しています。」
「非常に光栄であるとともに、この賞は私だけで勝ち取ったものではありません。今シーズン、むしろキャリアを通じて、自分だけで成し遂げたことは何一つありません。数多くの人々の支えがあって達成できたことであり、特に今のチームメイトは常に素晴らしく、私と同様にこの賞を受賞するに値するでしょう。」
「チームの全員が最高のパフォーマンスを披露したからこそ、素晴らしい成績を収められた。それがたった1試合ではなく、ヘッドラインを飾る話題(一過性)でもなく、日々のトレーニングから継続できていた。」
「メルウッドにおける文化や環境は数多くの試合に出場した選手だけが作るのではなく、関係者全員で作っている。たったひとりの力で成り立つものでなく、一人ひとりの努力が集結した結果。」
「あくまでチームの代表としての受賞であり、彼らの支えなくして、受賞に値するほどの存在になり得なかった。彼らが、より良い選手になるため、より良いリーダーになるため、そしてより良い人間へと成長させてくれた。」
ゴールやアシストなど数値に残る貢献が少なく、しばしば非難の的となってきたヘンダーソン。それでも人一倍の努力を積み重ね、クロップサッカーを形成するために欠かせない選手に成長。絶対的な選手になった今でも練習において必死に取り組む姿勢を忘れず、絶大なる信頼を選手のみならずコーチ陣からも得ている。
ヘンダーソンらしく謙遜したコメントであったが、特にここ2シーズンのヘンダーソンの活躍が年間最優秀選手賞に値することは、リバプール関係者のみならず、サポーター全員が納得し理解している。