オランダ代表MFジョルジニオ・ワイナルドゥムとの契約延長の話題に進展が見られない。夏にユルゲン・クロップ監督との良好な話し合い後、交渉に進捗が見えないのはサポーターにとって心配事のひとつ。バルセロナ移籍や給与増額でのオファー提示などニュースには流れているが、真相は闇の中で、何一つ明確な真実がない。
すでに12月…来月2021年1月になってしまうと、ワイナルドゥム本人がクラブ間合意なしに、自由に交渉のテーブルに着くことが出来てしまう。リバプールは残留を強く願っている。他クラブのオファーを聞いた上で、リバプール残留でも快諾するだろう。新たなチャレンジを望んでいるとされるオランダ代表が他クラブのオファーを検討した後に、決断させてくれとリバプールに願い出ていても不思議ではない。
ただ、魅力的なオファーが届けば、来年夏にフリーで移籍してしまう可能性は大いに残される。様々なポジションをこなし、時には守備的MFとしてディフェンスラインを守り、時には前線に顔を出して得点を奪う。豊富な運動量と強靭なフィジカル、意外とテクニックにも優れており、中盤を制圧する。過去数シーズン、チームの中心として躍動した彼の放出は大きすぎる痛手になる。
稀有なミッドフィルダーの後継者探しは、水面下では行われているはずで、ブライトン所属のマリ代表MFイヴ・ビスマの名前が急浮上している。リバプールとの対戦では、ボール奪取に奔走し、中盤起用となった南野拓実は執拗に狙われて、ボールを失う場面が散見された。南野とは対照的に、好パフォーマンスが各メディアの目に留まった。
24歳ミッドフィルダーは、2018年にLOSCリール・メトロポールからブライトンに移籍。グレアム・ポッター監督から信頼を勝ち取り、今シーズンは第3節マンチェスター・ユナイテッド戦を除き、すべてのプレミアリーグでの試合に出場し、10試合で1得点を記録している。うち9試合でフル出場しており、第2節ニューカッスル戦のみ89分で退いている。
90分走り続けるだけの運動量は証明済みで、激しいタックルや強いフィジカルでボールを奪い取る。パスサッカーを標本するチームだけに、高い技術を持ち、ドリブルでボールを運ぶことも可能だ。ドリブルの仕方が、ナビ・ケイタに似ていると感じるのは私だけだろうか…長短のパスも苦にせず、182cmと身長はそこまで高くないものの、対人守備には強く、空中線でも力を発揮できる。
端的に表現するならば、体躯を強化したナビ・ケイタと表現できないことはない。インサイドMFでも、守備的MFでもプレー可能で、デュエルでも簡単には負けない。クロップ監督のもとで、ポジショニングや動き出しのタイミングなど包括的に学べられば、プレミアリーグでも屈指のMFに成長する可能性を秘めている。
ポジション的にカードをもらいやすいのだが、規律面では問題を抱える選手であることも確か。89分で退いたニューカッスル戦は、実のところレッドカードでの退場であった。10試合でイエローカードも4枚もらっており、クリーンなボールの奪い方を学ばなければならない。規律を乱す、カードをもらいやすい選手はクロップ 監督も好まないため、この部分は移籍の障壁となりそう。
ロングシュートには定評がある一方で、得点感覚はワイナルドゥムの足元にも及ばない。そっくりそのまま引き継ぐのは難しい。理想的には、守備面でのプレッシングに集中しつつ、中盤でボールを散らす役割に集中すること。得点に関しては、それこそナビ・ケイタやアレックス・オックスレイド=チェンバレンあたりに任せ、中盤のエンジンとして空いているスペースをカバーしまくる。
ファビーニョほど守備に専念する必要はなく、攻撃にも参加するが、あくまで中盤と前線の架け橋であればイメージしやすい。中盤でのプレスや攻守の切り替えで高い強度を示すジョーダン・ヘンダーソンやワイナルドゥム、ジェームズ・ミルナーがこぞってベテランの域に突入しているため、興味深い補強になることは確実。
報道にある通りのワイナルドゥムに代る中盤のエナジーになり得る選手であり、オランダ代表が持つ攻撃センスは軽減されてしまうが、中盤を支配するための貴重な戦力にはなってくれそうである。ただし…笑顔が素敵な仕事人ジョルジニオ・ワイナルドゥムの契約延長が最優先である事実は言うまでもない。