母国ナイジェリアからリバプールに引き抜かれたのは、2015年の夏。労働許可証を得るだけの基準を満たせず、加入以来ローン移籍を繰り返す日々を送り、オランダやベルギー、ドイツと様々なリーグを経験した。
昨シーズンにはブンデスリーガのウニオン・ベルリンに1年間のレンタルで加入すると、強靭なフィジカルとサッカーセンスでレギュラーの座を掴む。後半戦には負傷の影響で試合出場がままならなかったが、22試合5ゴール4アシストを記録し、躍進を遂げたチームの主軸を担った。
今夏には労働許可証が下り、英国内でもプレー可能となったナイジェリア代表FWだが、リバプールでの居場所はすでになかった。プレシーズンに参加したものの、650万ポンド（約9.1億円）で、昨季も過ごしたウニオン・ベルリンに完全移籍を果たした。
今シーズンは得点感覚にさらに磨きがかかり、17試合で12ゴールとエース級の活躍を続ける。所属クラブは競合のRBライプツィヒを上回り、リーグ戦6位と大健闘を見せており、昨季の7位を超える順位でシーズンを終える可能性も高い。
タフなブンデスリーガで、自慢のフィジカルで24歳にして安定したサッカー人生を送る同選手は、ナイジェリアからイングランドに渡った移籍を振り返り、無知であったことを明かしつつも、決断は間違っていなかったと、『Tribalfootball』とのインタビューで語っている。
「人生は旅みたいなものだ。進むべき道は人それぞれで、それぞれの運命は異なる。」
「リバプールと契約したのは、サッカー選手としての若い頃で、労働許可証がどのように機能しているか理解していない時期だったけど、今もなおそのことについて話している。」
「これは、リバプールと契約したことが間違った決断ではなかったことを示している。他の選手であれば、すぐに労働許可証を取得できるだろう。」
「若いナイジェリア人選手には、どのような選択をしようと、どのような決断をしようと、ただひたすら祈り、神に導かれて旅をするように言いたい。」
「神の助けを信じることが、唯一の解決策なんだ。」
結局は労働許可証を得られずに、リバプールはおろか、プレミアリーグでプレーすることすら許されなかった。そのままドイツに渡ったストライカーだが、リバプールでの日々に感謝しており、全く後悔していないようだ。
「リバプールは夢を実現するためのプラットフォームを提供してくれた。常に言ってきたことだけど、これまでのキャリアの中で起こった最高の出来事のひとつだね。」
「プレミアリーグで試合に出られなかったけど、まだ挽回できる時間が残されており、後悔していない。リバプールの選手として過ごした時間は、素晴らしいものだった。」
同ポジションには、モハメド・サラーやサディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノら世界でも有数のフォワード陣を抱えるリバプール。プレシーズンやトレーニングにおいて、ともにプレーした経験を持つ元リバプールFWは、ほんとに特筆すべき能力を吐露している。
「サラー、マネ、フィルミーノはほんとに素晴らしい選手たちだ。」
「彼らはあまりにも優れた個性を持っている。中でも特に尊敬しているのは、彼らの謙虚さ。サッカーではトレーニングであれ、試合中であれ、サッカーに関わるあらゆる面で学びになる。」
ドイツの地で覚醒を遂げているナイジェリア代表FW。ブンデスリーガでも若きストライカーのひとりに挙げられる選手に成長中の同選手は、さらなる活躍で、いつの日かプレミアリーグでプレーする日が来ても不思議ではない。
そして、それがリバプールになってくれれば、サポーターにとっても歓喜の瞬間となるだろう…