幼い頃からリバプール・アカデミーに在籍し、年々成長を遂げているオークリー・キャノニア。昨シーズンには初めてのプロ契約を結び、現在はU-18チームで主軸を担っている。今季はすべての大会を含めて、23ゴールを奪うフォワードには明るい未来が待ち受けている。
ただし、同選手と言えば、まだまだボールボーイの印象が強い。トッテナム・ホットスパーとのチャンピオンズリーグ決勝戦を制し、6度目となる頂点に輝いたリバプール。同大会の準決勝ではリオネル・メッシ率いるバルセロナと対決。
1stレグではアウェイの地で3点リードを奪われた状態で、アンフィールドで2ndレグに挑んだリバプール。大歓声を受けたホームの地で、ジョルジニオ・ワイナルドゥムなどのゴールで同点に追いつく。そして、コーナーキックの流れから意表を突いた決勝点はいまでも語り草だ。
ボールボーイが素早くトレント・アレクサンダー=アーノルドにボールを渡すと、バルセロナ守備陣が陣形を整える前にゴール前にボールを放り込むと、ベルギー代表FWディボク・オリギのみが反応。貴重かつ印象的なゴールシーンが生まれ、決勝へのチケットを手に入れた。
アシストのアレクサンダー=アーノルドやゴールを決めたオリギらとともに、この試合で絶賛されたのは、ボールボーイを務めていたオークリー・キャノニア。当時14歳の同選手は、そそくさとボールを拾い、右サイドバックにボールを戻した姿勢が評価された。
クラブ公式サイトとのインタビューに応じた若きリバプールFWは当時のことを振り返り、試合前から試合のテンポを損なわないためにボールを素早く戻すことを意識していたことを説明しつつも、翌日に学校に行った際の秘話も明かしている。
「誇らしい気分で、ほんとに大きな瞬間だった。」
「でも、僕はサッカー選手になりたいのであって、ボールボーイになりたいわけではない。」
「(当時は)雰囲気とかを考えて、あの場所を選んで座っていた。」
「実は同じようなことが以前にもあって、ドルトムント相手にロブレンがヘディングシュートを決めた試合では、ロブレンが滑り込んだあのコーナーにいた。ボールボーイに関しては、正直に言えば、運が良かっただけだよ。」
「アシスタントコーチからは、3-0で負けており、試合の強度を維持するためにも、すばやくボールを返さないといけないと言われていた。すべてにおいて迅速でなければならず、ボールをピッチに戻さなければならなかった。」
「翌日、学校に行ったら、リバプールファンがみんな僕のところに来て、”キミのおかげで試合に勝てた!” って言ってくれたんだ。あまりに多くの人が寄ってきて、別の部屋に移動してしまった。」
「今でもちょっと不思議な感覚だ。SNSで僕のことをリバプール・レジェンドと呼んでくれる人たちがいる。でも、(トレント・)アレクサンダー=アーノルドがリバプールのトップチームでやってきたこと、そして勝ち取ってきたことを見れば、僕も後を追いたい。ボールボーイのレジェンドみたいにはなりたくないんだ。」
「数週間前にトップチームと練習したとき、クロップ監督が僕のところに来て、当時のことに対して “キミに感謝しなければならない” って言われたんだ。」