1993年に生まれた23歳GKクィービーン・ケレハー。2015年7月に地元アイルランドからリバプールに加入。同クラブのアカデミーでポテンシャルを磨き、過去数シーズンにわたりトップチームに定着。現時点では、ベテランGKアドリアンを上回り、セカンドGKを務める。
今シーズンはプレミアリーグで2試合、カップ戦で4試合に出場。国内リーグ戦は守護神であるブラジル代表GKアリソン・ベッカーの負傷などがなければチャンスは巡ってこないものの、カップ戦では定期的にゴールマウスを守ってきた。
23歳とは思えない落ち着きで、プレスをかけられても慌てることなく、チームメイトにパスを通す。状況判断にも優れており、ロングボールにもペナルティエリアを飛び出して対応。カラバオカップ準々決勝レスター・シティ戦では、PK戦で2度のセーブで準決勝進出に大きく貢献した。
アイルランド代表でも着実に経験を積んでいる同選手だが、昨夏には移籍の噂が飛び交っていた。アリソンがいる限り、多くの出番を得ることが難しく、出場機会を確保するためにもリバプール退団の可能性が報じられていた。
代表監督も移籍を促すなど、ローン移籍もあり得ない話ではなかったものの、最終的にはアンフィールドに残留。決して不満を表さずに、淡々と自らの成長のみに集中するアイルランド代表GKは、リバプールのNo.1GKとの練習を通して、多くを学ぶことができる現在の良好な環境に感謝している。
「経験豊富なコーチ陣やゴールキーパーたちと一緒に学び、向上していける素晴らしい環境に囲まれている。」
「世界最高のアリソンとアドリアンがいて、プロ経験豊富な2人が、僕やアカデミーから上がってくる若い選手たちを助けてくれている。」
「彼(アリソン)とともに毎日練習できるのは最高だよ。彼のテクニックや、どんな状況でも冷静に対処する姿を見るだけで、自分の基準やレベルを上げることができる。」
「彼のポジショニングはとても秀逸。他のGKなら難しく見えるセーブも、彼は簡単そうにやってのけるし、実際に素晴らしいセーブをしている。」
「ハンドリングもとても良く、他のキーパーなら溢してしまうようなボールもキャッチする。もしも彼に何か話す必要があれば、彼はいつも僕を助けてくれるだろう。」
BBC Sport
さらには、ブラジル代表との兼務でリバプールのゴールキーパーコーチ陣に加わった元ブラジル代表GKクラウディオ・タファレルに言及。現役時代を知らないことを吐露した上で、歴史に名を残す伝説的なゴールキーパーの加入は大きな刺激となっているようだ。
「僕はその頃に生まれていたわけじゃないけど、それでもゴールキーパーならば、名前くらいは知っているはずさ。」
「彼が加わると知ったとき、特にゴールキーパーにとっては大きな励みになった。彼と一緒に仕事をするのはとてもエキサイティングだったし、彼は本当によくやっている。」
「彼はゴールキーパー界のレジェンドだから、彼と一緒に仕事ができるのは一流の証だね。」
BBC Sport
圧倒的な冷静さとゴールキーピング技術で、最終ラインに安心感を与えるクィービーン・ケレハー。プレミアリーグでもスタメンを張れるであろう実力を有しており、セカンドGKとしては勿体無い部分もある。
アリソン・ベッカーがまだ数年間はトップレベルで活躍できることを考えると、放出やむなしの時期が来てしまうこともあり得る。2番手で満足する選手とは思えず、近い将来に退団志願もしても不思議ではない。
ただし、サポーターからすれば、不安定なアドリアンよりもクィービーン・ケレハーの存在感は欠かせない。少しでも長くリバプールに残留してもらい、可能であれば、ブラジル代表GKとポジション争いを繰り広げてもらいたい…