フローニンゲンでトップチームデビューを飾ったリバプールDFフィルジル・ファンダイクは、セルティック(スコットランド)とサウサンプトンで着実に実力を身につけ、2018年1月に恋焦がれる形でリバプール加入。
オランダ代表でもレギュラーを張るセンターバックは、それまで不安定だったディフェンスラインを強烈なリーダーシップで導き、弱点を強みと言えるほどに変貌させた。その年の夏に加わったGKアリソン・ベッカーとともに、強固なディフェンスを作り上げた。
恵まれた体躯での空中線や対人守備で強さを発揮し、ピンチに陥ったときには脅威的なスピードで戻り、大きいの速いという抜群の運動神経を有してる。さらには、高いディフェンスラインを保つクラブにおいて、オフサイドラインを統率し、プレミアリーグでも屈指の守備力を牽引。
守備面だけじゃなく、攻撃面でも強みを持つ。逆サイドや相手ディフェンダーの裏へのロングフィードは正確で、足元にピッタリと合わせる。しかも、ほぼステップを踏まずに蹴り込めるのはほぼ反則。コーナーキックなどではターゲットとなり、執拗なマークにも関わらず、ヘディングでゴールを沈める。
プレミアリーグだけでなく、世界各国のリーグを見渡しても、同レベルのセンターバックは数少ない。かつてリバプールで一時代を築いた元イングランド代表FWマイケル・オーウェンにとっては、歴代でも最高峰のセンターバックであると、オランダ代表ディフェンダーを大絶賛している。
「彼はセカンドギアでプレーしており、簡単すぎる。彼にとって、試合は簡単だ。」
「もう一歩踏み込んで言えば、これまでの生涯で、彼以上のディフェンダーを見たことがない。何人かの素晴らしいディフェンダーと対戦してきたが、彼にできないことはないだろう。」
「電光石火の速さを有し、ボール捌きも素晴らしい。ゴールも決める。空中戦では野獣のようだ。ゲームを読み、リーダーシップもある。彼がやれないことが思いつかない。」
「マルセル・デサイーは、私が対戦した中で最高のディフェンダーだった。リオ・ファーディナンドやジョン・テリーもそうだね。本物のロールスロイスだよ。」
「そして、最高のディフェンダーたちとして記憶されていく。これ以上のディフェンダーを、私は見たことがない。彼は史上最高の選手のひとりになるかもしれないね。」
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年齢は30歳だが、経験でカバーできるポジションだけにまだまだクラブにおいて主軸を担う。チェルシーDFチアゴ・シルバのように、37歳になってもなお第一線で活躍する姿すらも想像できる。
昨シーズンには、シーズンを棒に振る大怪我を負ってしまい、シーズンを通してリハビリに追われた。怪我の影響もあるのか、加入直後に見せた無双状態のようなディフェンスこそ出来てないかもしれないが、試合を読む力や統率力はさらに磨きがかかっている。
カラバオカップ決勝のPK合戦で蹴り込んだシュートは、完全にチェルシーGKの精神力を折るほど。あの場面で、あのコースに蹴れる胆力はリバプールに欠かせない。加えて、ジョー・ゴメスやイブラヒマ・コナテら若手センターバックの教育にも期待したい。
あらゆる仕事を押し付けるのはよくないが、能力が高すぎるからこそ期待してしまう。そして、カラバオカップに続いて、リバプールをふたたびのプレミアリーグやチャンピオンズリーグ制覇へと導いてくれると信じている…