遡ること2016年の夏に、ユース時代を過ごしたSCインテルナシオナルからASローマへと羽ばたいたブラジル代表GKアリソン・ベッカー。加入初年度こそベンチを温めたものの、2年目にはセリエAで37試合に出場し、チャンピオンズリーグでは準決勝進出へと導いた。
その実績と能力を買われて、2018年の夏にはリバプール移籍を果たし、さらなるステップアップ。フィルジル・ファンダイクとともにディフェンスを強固なものとし、1年目ながらもチャンピオンズリーグ制覇に大きく貢献。
その翌シーズンにはプレミアリーグを優勝し、新設されたレフ・ヤシン賞の初代受賞者となり、名実ともに世界的なゴールキーパーへと成長を遂げた。ブラジル代表GKの特徴と言えば、幅広いカバーエリアと卓越した足元の技術。
シュートストップや後方からの指示だけじゃなく、現代的なゴールキーパーに求められる能力を高いレベルで備える同選手は、足元の技術を高めるための要素を語りつつも、ユースチームでの経験が大きな転機となったことを明かしている。
「自信を持つことが大きなポイントだと思う。いろいろなことをやって、プレーすることで自信を得られる。」
「必要な存在になるにも、ゴールキーパーを含めてプレーすることを好むチームにいなければならないし、足元を使ってプレーする自由を与えてくれる監督も必要だ。」
「でも、ボールを持ったときに選手が背中を向けていたら、ロングボールしか蹴れなくなってしまうし、そういう仕事になってしまう。」
「必要なスキルは持っていると自負しているけど、ユースチームでプレーしていた時にかなり鍛えられた。以前、GKを使ってボール回しをするバルセロナの(ペップ・)グアルディオラ監督を崇拝する指揮官のもとでプレーしていて、彼のU-20チームでそれを実践しよう試みていたけど、それがすごく役立った。」
「その後、ローマに行って少し上達したが、リバプールがこれまでで一番落ち着く場所だ。選手たちが、僕をピッチ上でもうひとりのフィールドプレーヤーであるかのように望んでくれるからね。」
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アリソンが所属するリバプールは、現在プレミアリーグの首位を争って、マンチェスター・シティと激しい戦いを繰り広げている。奇しくも、同じくブラジル出身でボールコントロールに優れ、世界でもトップ5に入るエデルソンが所属するクラブだ。
2019/2020シーズンには、代表チームでもポジション争いをするエデルソン有するマンチェスター・シティを大きく突き放し、30年ぶりにイングランドの頂点に立った。しかし、スタジアムにサポーターの姿はなく、家族たちだけが入場を許された。
まさに新型コロナが猛威をふるい、今後どうなるかわからない状態でのチャンピオン。少し寂しさが残った優勝セレモニーだったが、アリソン・ベッカーはそんなことは微塵も感じておらず、一緒に祝っている感情を抱いていたようだ。
「前に優勝したときもそうだったように、僕たちにとって(サポーターたちは)本当に良い後押しになる。あの瞬間は実現できなかったけれど、サポーターたちが僕らと一緒に祝ってくれているように感じたよ。スタジアムにいたわけではないけど、僕たちだけではないんだ!という実感があったんだ。」
「プレミアリーグはタフで、勝つのが難しい。いいチームがたくさんあるし、上位のチームだけじゃなく、他のチームも含めて、レベルがどんどん上がってきている。」
「だからこそ、一戦一戦に集中して、そして何が起こるか見極める必要がある。僕らにはいいチームがある。戦うことができるチームだ。」
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マンチェスター・シティのホームでの直接対決を控えるリバプール。FAカップでも直接対決が待ち構えるだけに、両試合でライバルチームを圧倒できるかが、今季ふたたびプレミアリーグ優勝トロフィーを掲げられるかどうかの分岐点になる。
前後に重要な試合を控えているものの、それはマンチェスター・シティも同じこと。今季も好セーブを連発するブラジル代表GKら守備陣が相手のアタッカー陣を抑え、最強アタッカー陣がゴールをもぎ取り、満員のアンフィールドでリーグ優勝を決めてくれる日が今シーズン中にやってくる…と信じている…