リバプールの未来を担うかもしれない逸材、タイラー・モートンは今季トップチームでの貴重な経験を得た。カラバオカップ3回戦ノリッジ・シティ戦でデビューを飾ると、FCポルト相手にチャンピオンズリーグにも初出場、しかもスタメンで90分間戦い抜いた。
プレミアリーグでは、2021年11月20日アーセナル戦で後半41分に投入されて、アンフィールドの温かい拍手の中で、6分間プレーした。その後、トッテナム・ホットスパー戦でも60分間ピッチに立ち、プレミアリーグで初めてのアウェイゲームを体感。
ポジションはアカデミーで慣れ親しんだインサイドミッドフィルダーではなく、守備的ミッドフィルダー。トップチームではファビーニョが試合を読む力でボールを刈り取り、センターバック陣とともに相手の攻撃の目を摘み取る。
経験値が必要となる難しいポジションにも関わらず、またフィジカルもまだ幼さが残る中、確実なパフォーマンスを披露。最近はチアゴ・アルカンタラやハーヴェイ・エリオットが戻ってきたこともあり、出番はめっきり減ったものの、FAカップ5回戦ノリッジ・シティ戦でも29分間プレーしている。
高いポテンシャルを秘めており、将来的にはリバプールの中盤でのレギュラーが期待される若きミッドフィルダー。幼少期からアンフィールドに通い、同クラブの熱烈ファンであるタイラー・モートンがここまでのサッカーキャリアからこれから達成したい夢について、『VERSUS』とのインタビューで包み隠さず語っている。
幼少期からゲームに打ち込むために、影響を与えた人物は?
「母や父、兄、おばあちゃん、みんなが小さい頃から背中を押してくれて、地に足をつけていられるようにしてくれた。彼らはみんなレッズ(リバプール・サポーター)なので、僕がプレーしていることは彼らにとって大きな意味があった。それでも、僕が平静を保てるように配慮してくれていた。でも、決して厳しいことは言わないので、本当に感謝しているよ。」
「でも、僕は自分が達成したいことに集中し、自分自身に対して高い基準を置いている。周りの選手たちも、自然とそういう気持ちを高めてくれる。父は僕に対して変わることはないし、僕も変わらない。サッカーをやっていない普通の子供と同じように接してくれてているよ。」
アンフィールドのシーズンチケットを持っていたそうですね。スタンドから見て育ったあなたの一番のアイドルは誰ですか?
「もちろん、(スティーブン・)ジェラードだね。リバプールで彼のキャリアの最後の方をたくさん見たけど、それでも彼はピッチ上で最高の選手だった。父からは “まだ彼のベストの状態を見ていない!” とよく言われた。僕から見ても、彼はめちゃくちゃ上手かったよ。彼は間違いなく僕のアイドルだ。でも、彼は決して順風満帆ではなかったけど、むしろそこが彼の一番好きなところだね。」
ファーストチームで初デビューを飾ったときの感想は?
「リーグカップのノリッジ・シティ戦だったね。正直なところ、少しも期待していなかった。ただウォーミングアップをして、ボールをゴールネットに叩き込んでいたら、ナビ・ケイタが少し痛んでいると聞いて、僕が出場することになったんだ。その後には、ペップ・リンダースから “6番” で出場すると伝えられた。」
「僕はいつも守備的ミッドフィルダーでプレーしていたわけじゃなく、どちらかというと “8番” に慣れていたけど、ボールを持てるので守備的ミッドフィルダーをやること自体は好きなんだ。でも、出場して基本的なことをきちんとやれば、正しい道に進めるし、このレベルでもやっていけるという確信が持てるようになった。遠目からのシュートも好きで、将来は中盤からゴールを決められるようになりたいね。」
これまでのキャリアで、かなり大きな試合に投入されてきました。リバプールの一員として、プレミアリーグやチャンピオンズリーグでプレーするプレッシャーに対して、どのように対処していますか?
「僕はあまり自分にプレッシャーをかけないようにしている。一緒にプレーしている選手たちが、僕からプレッシャーを取り除いてくれることも多い。もしボールを失ったら、(ジョエル・)マティプ、(フィルジル・)ファンダイク、(イブラヒマ・)コナテ…そして、特にファビーニョのようなクオリティーの高い選手が周りにいるんだ。こういう選手たちがいると、本当に落ち着くし、自分のプレーに集中できる。」
満員のサン・シーロでプレッシャーを受けながら、一歩を踏み出した時の気持ちはいかがでしたか?
「緊張はしたけど、良い緊張感だった。常に試合を想定して、シンプルなことをうまくやるのが僕のスタイル。ピッチ上ではとても楽しめれた。今は、自分のプレーを録画したビデオを見て、その時の経験を自信に変えている。」
「これまであまり自分自身にプレッシャーをかけてこなかった。自分のプレーは、とても落ち着いていて、リラックスしている。これまで、与えられたチャンスをうまく生かしながら、すべてを受け入れてきたと思う。このまま続けていけるといいんだけどね。今の自分にとても満足しているんだ。」
選手として、成し遂げたい夢は?
「僕は “いま” に生きている人間で、あまり先のことを考えたり、くよくよしたりしない。今ここに集中している。大好きなクラブでプレーするプロサッカー選手として、一分一秒を楽しんでいる。僕の最終的な目標は、リバプールの選手になって、このクラブでスタメンになること。でも、それまではプロサッカー選手でいられるだけで幸せだよ。」
“タイラー・モートン” という人物をどのように表現しますか?
「身近な人のためなら何でもする、実直な人間かな。」