昨シーズンのリバプール守備陣は呪われていた。エバートン戦での衝突により、オランダ代表DFフィルジル・ファンダイクが長期離脱。直後には、イングランド代表の練習で、ジョー・ゴメスもシーズンを棒に振るほどの怪我を負ってしまう。
ディフェンス・リーダーが期待された元カメルーン代表DFジョエル・マティプも負傷で離脱せざるを得ず、その年の夏にクロアチア代表DFデヤン・ロブレンを放出していたクラブに残された選択肢は、中盤をセンターバックに起用すること、もしくは若手選手を信頼することだけだった。
ファビーニョが多くの試合でセンターバックとして守備陣を支え、アリソン・ベッカーやサイドバック陣も奮闘する中でも、3人の若きディフェンダーの働きが称賛された。ナサニエル・フィリップスは、中でも最も多くの試合に出場し、ファイティング・スピリットと圧倒的な空中線の強さで攻撃を弾き返し続けた。
アカデミー出身のリース・ウィリアムズもまた経験が足りない状態でも、強力なプレミアリーグのアタッカー陣と対峙。ローン移籍で加わったトルコ代表Dオザン・カバクも見事なプレーぶりで、負傷者が相次いだシーズンでも3位でのフィニッシュに大きく貢献した。
4位以内に入ったことで、今季のCチャンピオンズリーグ出場権を獲得。トルコ代表DFはローン期間が終了し、ノリッジ・シティに移籍しているが、ナット・フィリップスとリース・ウィリアムズはリバプールと契約を結んでおり、主力が戻った今年はレンタル移籍で経験を磨いている。
ビジャレアルとの熾烈なCL準決勝を戦い抜き、CLファイナル出場を果たしたリバプール。チームを率いるユルゲン・クロップ監督は昨シーズンの彼らの活躍を忘れていない。決勝に駒を進めたときに、イギリス人センターバックたちに労いのメッセージを送っていたことを明かしている。
「リース・ウイリアムズとナサニエル・フィリップスにメッセージを送ったのは、彼らがいなければ、いまの私たちは存在し得ないからだ。」
「昨シーズンの最終戦、彼らは頭に包帯を巻き、顔に切り傷を作ってピッチを後にしたのを覚えている。あれは本当にこの時期の象徴だった。片足で、片目で…信じられないことだ。とてもタフなシーズンだったよ。」
Sky Sports News
ナサニエル・フィリップスはシーズン後半戦をボーンマスで過ごし、来季のプレミアリーグ昇格に大きく貢献。スコット・パーカー監督からの信頼も厚く、移籍金で合意さえできれば、今夏の移籍市場での完全移籍が予想される。
リース・ウイリアムズはスウォンジー・シティへのレンタル移籍が失敗に終わり、契約期間を前倒しして、今年の1月にリバプール復帰。その後はアカデミーで力を磨いており、来シーズンこそはレギュラーとして出場できるクラブにレンタルすることだろう。
まさに総力戦を粘り強く戦い、世界でも競争率の高いプレミアリーグで3位に貢献。ベンチに座っている選手であろうと、ベンチ外が続く選手であろうと、トップチームに帯同できない選手であろうと、その活躍を称賛するクロップ監督の人柄の良さが窺い知れる。
ファビーニョやチアゴ・アルカンタラと決勝が近づくに連れて、怪我人が増えつつある中でも、自慢の一体感を武器に、ふたたびビッグイヤーを獲得してくれることだろう…