若き中盤の要、ライアン・フラーフェンベルフ:アヤックスの神童が歩んだキャリアと、リバプールでの輝ける未来

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若き中盤の要、ライアン・フラーフェンベルフ:アヤックスの神童が歩んだキャリアと、リバプールでの輝ける未来 キャリア

ヨーロッパでも屈指の逸材と称されるライアン・フラーフェンベルフ。オランダ・アムステルダムで生まれ、名門アヤックスで育まれ、バイエルン・ミュンヘンでの挑戦を経て、2023年にリバプールに辿り着いた。23歳という若さながら、キャリアにおいて成長と挫折を経験。そのプレースタイルやキャラクターには、多くのサポーターが魅了されています。今回は、彼の生い立ちから現在までの歩みを、深掘りして紹介していきます。

アムステルダムに咲いた才能の原石──サッカーと共にあった少年時代

ライアン・ジロ・フラーフェンベルフは、2002年5月16日にオランダの首都アムステルダムに生まれる。フィルジル・ファンダイクやジョルジニオ・ワイナルドゥムらと同じくルーツは南米スリナムにあり、多文化が混ざり合うアムステルダムという街で育った彼は、幼い頃から豊かな感性と創造力を持っていた。父親は、アマチュアクラブ「Zuidoost United」でコーチや役員として活動しながら、地元企業で勤務する二足の草鞋を履いていました。母アレサは家庭に専念し、子供たちの成長を献身的にサポートしてきた。 

兄のダンゼル・フラーフェンベルフもプロサッカー選手として活躍しており、2人はともに、オランダ国内でも屈指の育成機関として知られ、アヤックスを始めとする多くのトップクラブと密接なつながりを持つ「AVV Zeeburgia」でプレー。ライアンは小学生の頃から周りの子どもたちとは一線を画すスキルとサッカーIQを備えており、自然な流れで “次なるアヤックスの原石” として注目を集めてきた。

アヤックス・アカデミーで飛躍──“第2のポグバ”と称された天才の進化

2010年、8歳になったライアン・フラーフェンベルフは、オランダ最高峰の育成機関、アヤックス・アカデミーに加入。当時から周囲のコーチ陣を驚かせたのは、フィジカルだけでなく、冷静な判断力と戦術理解力の高さ。彼はすぐに飛び級での昇格を繰り返すことになり、14歳でU-17チーム、15歳でU-19チームへと抜擢され、誰しもが羨むエリート街道を歩んだ。

彼の名前がヨーロッパに広く知られることとなったのは、2017年10月に行われたUEFAユースリーグでの一幕。わずか15歳4ヶ月で大会史上最年少ゴールを記録し、一躍話題の存在に。本人は自らのプレースタイルを「蛇のよう」と例え、滑らかに相手をかわし、スルスルとボールを運ぶ能力を武器としている。憧れの選手には、ジネディーヌ・ジダンやポール・ポグバ、アンドレス・イニエスタ、フレンキー・デ・ヨングなど、技巧派かつ知的なMFの名を挙げている。

2018年5月16日、16歳の誕生日にアヤックスとプロ契約を締結。同時に、その年のクラブ最優秀若手選手賞を受賞し、心臓発作で倒れたアブドゥルハク・ヌーリに敬意を表して創設された「ヌーリ・アワード」も受賞。この時点で、すでに “アヤックス次の世代を担う顔” と評される存在へと成長を遂げていた。

プロ契約からわずか4ヶ月後。2018年9月23日、ライアン・フラーフェンベルフはエールディビジ第6節、PSVとのビッグマッチに途中出場し、16歳130日という若さでアヤックスのトップチームデビューを飾る。これはかつてクラーレンス・セードルフが保持していた最年少出場記録を大幅に更新する快挙となり、国内外から大きな注目を集めた。

デビュー戦での堂々としたプレーは、年齢を感じさせない落ち着きと大胆さを併せ持っており、続くKNVBカップでもクラブ最年少ゴールを記録。これにより、ライアンは10代にしてアヤックスの歴史にその名を刻み、クラブ内部でも “将来的に欧州トップのMFになれる逸材” として、最大級の評価を受けることとなる。

2020-21シーズンには、ついにチームの中心選手として覚醒。公式戦47試合に出場し、5ゴール6アシストを記録。ボール奪取からチャンスメイク、そしてビルドアップまでをひとりで担える万能型ミッドフィルダーとして認められ、年間最優秀若手選手に選出。欧州ビッグクラブが次々と関心を示し始め、アヤックスにおける彼の時間は卒業”のフェーズへと差し掛かっていた。

ドイツでの葛藤、そしてアンフィールドでの再起

2022年6月、リバプールも含めて数多くの強豪クラブが関心を示す中、フラーフェンベルフはドイツ・ブンデスリーガの王者バイエルン・ミュンヘンへと移籍。5年契約を結び、移籍金は最大2300万ユーロにのぼると報じられた。世界屈指のタレントが集うドイツ王者での挑戦は、本人にとっても大きなステップアップのはずだった。

しかし、そこには想定外の苦難が待ち受けていた。ジョシュア・キミッヒ、レオン・ゴレツカといった不動の主力たちが中盤を支配しており、出場機会は限定的なものに。さらに戦術適応にも時間がかかり、公式戦26試合に出場しながらも先発はわずか3試合に留まった。これまで順風満帆なサッカー人生に初めての挫折を経験。ピッチでプレーする選手たちの姿にジェラシーを感じつつも、監督の起用方法に疑問を抱く日々を過ごした。

わずか1年でドイツを離れることを検討していたオランダ人ミッドフィルダーに対して、その前のシーズンにも熱視線を送っていたリバプールが再注目。ブンデスリーガでの不遇から逃れるためにも、プレミアリーグでの新たなチャレンジを希望すると、2023年夏の移籍市場最終日にアンフィールド移籍が決定。ドミニク・ソボスライやアレクシス・マック・アリスター、遠藤航たともに、ユルゲン・クロップ監督が進めていた中盤再編プロジェクトの要として期待された。

加入初年度はヨーロッパリーグを中心に出場を重ね、アシストや初ゴールを記録するなどインパクトを残しています。プレミアリーグでも4月に初ゴールをマークし、インサイドハーフとして徐々にイングランドに慣れ、本来のプレーを見せ始めるようになる。

クロップ監督が退任し、新たに指揮官に就任したアルネ・スロット監督は23歳ミッドフィルダーにとって大きな転機となった。ポジションを下げ、守備的ミッドフィルダーにコンバートされると、高い潜在能力が開花。長い手足でボールを保持する一方で、相手のプレスを交わし、ボールを前に運ぶドリブルで局面を打開。今シーズンはクラブだけではなく、プレミアリーグにおける最優秀MFに選出されても不思議のないパフォーマンスで起用に応え続け、国内リーグ制覇に大きく貢献した。

クラブだけではなく、代表でもエリートコースを歩んできた。オランダ代表でもU15から各年代で招集され続け、2021年3月にはフル代表デビューを果たしたフラーフェンベルフは、クラブでの出場機会不足から一時は招集辞退を申し出るなど、代表でのキャリアが一時期落ち込むも、いまや常連に。中盤の要として国際舞台でも輝きを放っており、ロナルド・クーマン監督の信頼を勝ち取った。

アヤックスの元神童はアンフィールドの歴史に名を刻むのか

アムステルダムでその才能を開花させ、バイエルンでの苦難を乗り越え、ついにアンフィールドのピッチで羽ばたこうとしているライアン・フラーフェンベルフ。彼のキャリアは常に“期待”と“試練”が表裏一体となって進んできました。だが23歳という年齢を考えれば、彼の物語はまだ序章に過ぎない。

長い手足でボールを巧みに操る姿、ピッチ中央でリズムを支配する堂々たる姿には、かつての名手たちを想起させる風格すら漂う。今後、リバプールでどのような進化を遂げ、どんな称賛を得るのか…その一挙手一投足から、目が離せない。

キャリアスター候補生
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