アンフィールドへ羽ばたくフランス人ストライカー、ウーゴ・エキティケが注目を集めるまでの軌跡

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アンフィールドへ羽ばたくフランス人ストライカー、ウーゴ・エキティケが注目を集めるまでの軌跡 キャリア

ニューカッスル・ユナイテッドやマンチェスター・ユナイテッドといった名門クラブが熱視線を送っていた23歳のストライカー、ウーゴ・エキティケ。

現在はドイツ・ブンデスリーガのフランクフルトで大躍進し、欧州での注目を集め、総額7900万ポンドという高額な移籍金とともにリバプールにステップアップする。順風満帆にも思える移籍劇だが、彼がその才能を本格的に花開かせるまでには、紆余曲折に富んだ道のりがあった。

フランスとカメルーンにルーツを持つ少年時代と、芽生えた野心

ウーゴ・エキティケは2002年6月、フランス北東部の都市ランスで生まれた。カメルーン人の父とフランス人の母を持つ彼は、二つの文化の中で育ち、自然とサッカーに惹かれていった。アフリカ特有の身体能力とヨーロッパの戦術的思考を兼ね備えたバックグラウンドは、現在のプレースタイルにも色濃く反映されている。

幼い頃のヒーローはマンチェスター・ユナイテッドのレジェンド、ウェイン・ルーニー。エキティケ自身が「子供の頃からずっとユナイテッドが好きだった」と語っており、その想いはユナイテッドからの誘いを断ったとされる報道は皮肉に映るかもしれない。

地元クラブであるコルモントルイFCでサッカーを始めた彼は、すぐにその非凡な才能を見出され、2013年にスタッド・ランスのアカデミーに加入。以降、6年間をかけてプロへの階段を一歩ずつ昇っていく。

ランスでの開花とデンマークでの試練、そしてプロとしての転機

アカデミーを経て、2019年にはスタッド・ランスBチームでの出場機会を得たエキティケは、翌2020年7月にクラブと初のプロ契約を結ぶ。そして同年10月、リーグ・アンでトップチームとしてのデビューを果たすと、その可能性の片鱗をすぐに見せ始めた。

しかし、経験不足を補うため、2021年1月にデンマークのヴェイレBKへと期限付き移籍。慣れない北欧の地でも11試合で3ゴールを挙げ、異なる環境においても適応力を発揮した。

再びランスに戻った2021-22シーズンは、彼にとってキャリアの大きな転機となる。リーグ・アンで24試合10ゴールを記録し、多くのメディアが「驚異の若手」と評するようになる。持ち前のスピードとテクニックに加え、対人戦での強さや判断力も光り、フランス国内にとどまらず欧州中のスカウトの目に留まる存在となった。

PSGでの停滞とフランクフルトでの復活 逆境からの躍進

2022年7月、エキティケはローン移籍という形でパリ・サンジェルマン(PSG)に加入。仏『Le Parisien』によれば、買取オプションは2850万ユーロとされ、クラブの期待も高かった。しかし、キリアン・エムバペ、ネイマール、リオネル・メッシといった世界的スターが揃うチームで、継続的な出場機会を得るのは容易ではなかった。

PSGでは2シーズンで32試合に出場し、4ゴール4アシストを記録したものの、2023-24シーズンにはチャンピオンズリーグのメンバーから外れるなど、明確に序列が低下していった。停滞の時期を過ごしたものの、本人は腐ることなく、成長の場を求めて次のステージへと進む。

2024年2月、エイントラハト・フランクフルトへ期限付きで移籍。その後、4月には1650万ユーロで完全移籍となった。クラブは当初から彼のポテンシャルに確信を持っていたという。2024-25シーズンは33試合で15ゴール8アシストを記録し、リーグベストイレブンにも名を連ねた。xGとxAを合計した数値は26.61と、ブンデスリーガでも屈指のクリエイティブなストライカーとして評価されている。

現代型ストライカーとしての完成度と、代表での未来

190cmの長身を活かしたポストプレーだけでなく、スプリント力、ドリブル突破、味方とのコンビネーションなど、多彩なスキルを備えるエキティケ。

いわゆるゴールゲッターではなく、プレッシングやスペースメイクといった現代的な役割も担うことができる万能型のセンターフォワード。特にオフ・ザ・ボールでの動き出しには高い評価が集まっており、守備陣にとって最も厄介なタイプのフォワードとも評されている。

一方で課題も残る。2024-25シーズンに記録したxGは21.09であったが、実得点は15にとどまり、得点効率の面では物足りなさが残った。シュートセレクションに改善の余地があるとも指摘しており、今後の成長が期待される。

代表レベルでは、すでにフランスU-20およびU-21代表として実績を積んでおり、2025年3月のイングランド戦ではハットトリックを達成するなど、国際舞台でもその得点力を証明している。A代表招集はまだないものの、今後数年での初選出は十分に現実的な目標だ。また、カメルーン代表としての出場資格も持ち、かつては招集を辞退したが、現在は検討の余地を残しているとされる。

フランスの片田舎から飛び出し、北欧での修行、パリでの挫折、そしてドイツでの再生。ウーゴ・エキティケのキャリアは、一本調子の成功譚ではない。しかし、それゆえに今の彼が持つ強さには説得力がある。

ブンデスリーガでの飛躍をキッカケに、アルネ・スロット監督率いるリバプールに加入することになった。オランダ人指揮官はセンターフォワードに単なるゴールゲッターとしての役割以外にも、ウィンガーや攻撃的ミッドフィルダーらを巻き込んだ攻撃の中心となれる能力も求めており、嗜好するサッカーを体現するにも理想的なターゲットと言える。

とはいえ、ドイツの地で大量のゴールを挙げたシーズンは短く、その継続性には疑問が残るが、目利きに長けたリバプールのスカウティングチームだけに、アンフィールドでも高い決定力を見せつけてくれるはずだ。

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