サン・シーロの夜、リバプールがイタリアの巨人を粉砕したあの日、若きミッドフィルダーの不敵な笑みがすべてを物語った。なぜ中盤がこれほど円滑に機能したのかという問いに対し、カーティス・ジョーンズは自分がプレーしているからだと事もなげに答えた。
周囲を驚かせるほどの強烈な自己信頼。それはリバプールのスタッフが、全選手を飲み込めるほどの自信家だと評する本質。しかし、現段階においてその自信は試練の時を迎えている。かつて誰もが認めた将来のキャプテン候補は、今やキャリアの命運を左右する重大な岐路に立たされている
ピッチ上での数字を確認すれば、ジョーンズが欧州のトップレベルにある事実は疑いようがない。今シーズンのプレミアリーグにおいて、一定以上の出場機会を得たミッドフィルダーの中で、パス成功率は驚異の92パーセントを記録。
これはリーグ全体を見渡しても、フラムのトム・ケアニーに次ぐ2位の数字。海外メディア『SkillCorner』が提供する詳細なデータによれば、相手の激しいプレッシャーを受けた状態でのボール保持能力において、彼は欧州主要リーグの上位5パーセントに名を連ねる。
強靭な体躯を活かしてボールをプロテクトする力は、現代のプレミアリーグにおいて替えの利かない武器となっている。実際に今シーズン、ドリブルで突破を許した回数はわずか10回に留まる。これは主力のアレクシス・マック・アリスターが21回も突破されている事実と比較すれば、その守備的な安定感は突出している。
しかし、アルネ・スロット監督が構築した完成度の高いシステムにおいて、その高いスタッツが必ずしも先発起用を約束するわけではない。就任1年目の昨シーズンにリーグタイトルを奪還したオランダ人指揮官は、中盤の構成に明確な序列を確立した。
今シーズンの25歳MFは、欠場こそ少ないものの先発出場は10試合に限定されている。マンチェスター・シティやアーセナルといった宿敵との大一番で、ライアン・フラーフェンベルフ、アレクシス・マック・アリスター、そしてドミニク・ソボスライの3人を迷わず選んできた。さらにフロリアン・ヴィルツの存在が、中盤の競争をかつてないほど熾烈なものに変貌させた。
2025年6月にトレント・アレクサンダー・アーノルドがアンフィールドを去ったことで、リバプールというクラブが抱える情緒的な風景は一変。現在、ジョーンズはトップチームに唯一残されたスカウサー、すなわち地元リバプール出身の選手だ。
だが、プロサッカーの世界は感情だけで動くものではない。契約満了まで残り1年半となった今、クラブと選手の両者は極めてシビアな選択を迫られている。リバプールはトレント・アレクサンダー・アーノルドをフリーで失った失態を二度と繰り返すつもりはない。
スロット監督は会見で、契約延長の交渉が進んでいることは認めつつも、その行方については言葉を濁した。選手本人は海外メディア『The Athletic』のインタビューで、単にチームの一部として留まるのではなく、大きな責任を背負う中心人物でありたいと決意を語っている。
リバプールでの立ち位置は絶対的なものでははなく、あくまでレギュラーの一角。ヴィルツやソボスライ、フラーフェンベルフ、マック・アリスターらが序列では上にいる印象が否めず、特に前の3選手はスロット監督に欠かせない存在となっている。
そうした現状において、リバプールが毎週先発出場の機会を与えるのは難しい。25歳という年齢的にも全盛期を迎える中、多くの試合で決定的な仕事をしたい欲望を抱くのは普通のことで、選手のキャリアだけを鑑みれば、今年の夏にでも別のクラブに移籍するのが得策かもしれない。
ただし、スカウサーの存在は替え難い。はたして、2027年6月までの契約を残すジョーンズとリバプールはどのような決着を迎えるのだろうか…?
