ベシクタシュへのローン移籍からリバプールへと戻ってきたロリス・カリウス。絶対的守護神アリソン・ベッカー、バックアッパーとしてアドリアン。さらに若手のホープであるクイヴィン・ケラハーが在籍しており、当初から元ドイツU21代表GKに居場所はなかった。そして、移籍市場の間、リバプールは移籍先を探していた。リーグ・アンのモンペリエが興味を示したとの報道も…
それでも、なかなか移籍先が見つからない。COVID-19の影響を受け、入場料収入などが減り、クラブ経営が悪化しているクラブが多い中、大型補強を敢行したチェルシーのように、オーナーが資金を持っているクラブを除いて、わずかな移籍金すら捻出が難しい。その影響を受け、完全移籍での放出を望んでいるリバプールは買取クラブ探しが困難を極めた。
さらにいえば、ロリス・カリウスの市場価値は決して高くない。有名なチャンピオンズリーグでの失態から自信を失い、アリソン加入でクラブを追われ、トルコでも安定的なパフォーマンスとはいかず、たまに凡ミスを繰り返してきた。600万ポンド(約8.4億円)と予想される要求額すら高額すぎると捉えられたのかもしれない。
厳しい状況の中、ついに移籍先を見つけた。元日本代表DF内田篤人もプレー経験のあるウニオン・ベルリンへのローン移籍が決まりそうだ。横浜F・マリノスで活躍した遠藤渓太が在籍しており、日本人選手とは関係が深そうなクラブである。リバプールからもタイウォ・アウォニイが今夏ローン移籍で加わっており、リバプールとの関係も良好と言える。
このローン移籍が肝。完全移籍で買い取ってくれるクラブが見当たらなかったのか、1年間のローン移籍で最終決着となるようだ。要求額の減額よりも、1年間の給与を負担してもらい、母国ドイツでパフォーマンスを取り戻すキッカケを作る方が良いと判断したのだろう。すごい活躍を見せれば、来夏に完全移籍での放出ができる可能性がグッと上がり、経済的にもプラスになる。
ただ、2022年までの契約のため、来シーズンはボスマン・プレーヤーの一歩手前になってしまう。つまり、各クラブが半年間待れば、再来年の夏にフリーで獲得できる。チアゴ・アルカンタラやジョルジニオ・ワイナルドゥムと同じシチュエーションであり、判断がより難しくなる可能性も秘めている。
と、ここまでカリウスの評価が低いというテイストで書いてきましたが、まだまだトップレベルで活躍できる実力を持っており、自信さえ戻れば、貴重な戦力になり得る。
母国ドイツで低迷しているキャリアをふたたび輝かせることができるのか。かつてユルゲン・クロップ監督も認めたGKとしての才能を、いまからでも示して欲しいところだ。