フィルジル・ファンダイクの負傷により、ジョエル・マティプとジョー・ゴメスだけが純正センターバックとして控えるのみとなり、ファビーニョが急遽ディフェンスラインでプレーしている。デヤン・ロブレンの代わりを獲得しなかったことが、ここに来て響いている。
リース・ウィリアムズやナサニエル・フィリップス、セップ・ファン・デン・ベルフと若手は揃えている一方、経験値には疑問符が残るバックアップ陣には不安が拭い切れない。そこで、経験値を守備陣に加えるため、元アルゼンチン代表DFエセキエル・ガライに狙いを定めている、と報道されている。
今年の夏にバレンシアを退団したエセキエル・ガライは、複数のオファーがあったものの、すべてを断りフリーエージェントになることを選択。現時点までどこにも所属しておらず、移籍市場に関係なく獲得可能だ。
ラシン・サンタンデールで頭角を表し、レアル・マドリードへと移籍。スペインの強豪では本来の実力を発揮できずに、スタメンの座を掴み損ねている。その後は、ポルトガルのベンフィカに長く在籍し、ゼニトとバレンシアを経て、現在に至っている。
プレミアリーグでの経験こそないが、ラ・リーガでは200試合以上の出場経験を持ち、プリメイラ・リーガ(ポルトガル)でも、計136試合に出場している。アルゼンチン代表でも32試合に出場しており、リーグおよび国際試合における経験値は抜群である。
年齢が34歳であり、新たなリーグへの適応は困難を極めるはずだ。まして世界でも最高峰リーグで、試合展開の早さは他のリーグと比べ物にならない。今後パフォーマンスが向上する見込みもなく、ハイラインを基本とするリバプールディフェンスに必要となるスピードを有しておらず、獲得したとしてもタフな現実が待ち受けるだろう。
無料で獲得できること自体は魅力的であるが、給与は発生する。わざわざ34歳の選手と契約するよりも、その労力を別の選手に向けるべき。例えば、ベン・ホワイトやダヨ・ウパメカノなど主力級のセンターバックを来年1月に開く移籍市場で獲得できるように、給与枠も残しておいた方が断然良い。
今後2カ月間は現有戦力を駆使しながらも、最悪の事態にはフォーメーションを変更するなど対応が求められる。ジョー・ゴメス、ジョエル・マティプ、ファビーニョを信頼し、リース・ウィリアムズやナサニエル・フィリップス、セップ・ファン・デン・ベルフが戦力で劣る相手に対して起用する…これが現実的な選択だろう。